養子の日イベント続き、予期せぬ妊娠をした女性には・・・

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005l養子の日イベントの続きです。

サヘルローズさんのスピーチに続き、こうのとりゆりかご(慈恵病院)の蓮田院長と元看護師相談員の田尻さんのトークセッションがありました。

こうのとりゆりかごは、ただただ赤ちゃんの命を救いたいという思いだけで運営しています。生まれたばかりの赤ちゃんが道に捨てられた、トイレに捨てられた、川に捨てられた・・・痛ましいニュースが後をたちません。

誕生から0日で死んでしまう命。

命の誕生が奇跡であると不妊治療をしていると思いますよね。もちろん治療してなくとも思うことです。なんのために生まれてきたの、、、と悲しい思いになり、もうそんなニュース見たくない、と私は避けてしまいます。

でも蓮田院長は使命感をもちこの事業を始めました。反対もあり、大変なご苦労されたことと思います。産婦人科という命の現場に携わっているから強い思いがあったんですね。
院長はドイツの匿名で赤ちゃんを預かる施設「Babyklappe」を2004年に視察。ドイツではこういった施設が病院、NPOで広まり70箇所あります、保育園内にもあるというのには驚きました。そして、預けられた赤ちゃんはすべて新しい家庭に引き取られる。施設ではないというのがポイントです。

蓮田院長の話を聞くと、いや、お顔を見るだけでホッとするんですよね。赤ちゃんも困っている妊婦さんもそうだと思います。無条件で受け入れてくれる場所です。

以前、育てられないという親に「母親が育てた方が良い」という期待、思い込みにより赤ちゃんを返したケースがあったが、その後母子は心中というニュースを話してくれました。

これはwikipediaから、

平成19年から平成25年11月30日までに同病院が相談を受けたケースのうち特別養子縁組に至った190件中、43件が若年層の妊娠によるものであり23%の母親は15歳未満であったという。

親が判明したケースにおいて子供を預けた理由を調査したところ「戸籍に入れたくない」8人、「生活困窮」7人、「不倫」5人、「世間体が悪い」「未婚なので」

 

「母が育てるべき、それが一番幸せだ」という人はきっと愛情豊かに育ててもらったんだと私は思います。みんながそうではない、いろんな母がいます。それは毎日のニュースを見ていればわかるはず。

育てられない事情を持つ女性もいるんです。全く罪の意識なく結果的にネグレクトになって殺してしまうこともあります。理解ができないという方は「ネグレクト」という杉山春さんの取材記事小説を読むと多少想像できるかもしれません。母親だからという理由だけで赤ちゃんを押し付けてはいけません。妊娠中から不安で、相談する人も親もいない、お腹はどんどん大きくなる。そんな体で仕事はできないだろう、お金はどうしよう。もう、何も考えられない状態で児相に行くと、「産んでからきてください」と返される。お腹が痛くなり自宅出産、トイレ出産、悲惨なニュースが起きてしまう。そこまでに至る背景を想像すると私たち大人に事件を予防できる支援がたくさんあると私は思います。

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つづきまして田尻さん

田尻さんは、こうのとりゆりかご「SOS赤ちゃんとお母さんの電話相談室」の相談役として長い間予期せぬ妊娠をした女性に寄り添ってきました。「相談してくる女性は小学生・中学生もいる、妊娠した女性を責めない、限りなく傾聴すること」と話してくれました。そして、「家庭は大人になるために必要なもの」とハッキリと断言。これは施設入所の考え方を改めなければいけないという、現場の大事な叫びだと思います。

私が去年から活動をはじめた18歳以下の子供専用電話のデータによると「妊娠した、生理が来ない」という電話もかかってきます。「妊娠なんてまだ早い」「なにやってるの!」「親は知ってるの!?」という正論を言うとすぐさま電話を切られてしまいます。そして「ここにも相談できなかった・・・」と彼女たちはまた彷徨います。この電話は匿名で名前も地域も秘密です、匿名の方が相談しやすいですよね。しかし、妊娠という緊急事態には継続的で安定した支援が必要だと思っています。田尻さんのような専門の機関につなぐか、そのまま電話を切ってしまうかで、その子のこれからが大きく変わると思います。声をかけられた大人はいつだって親身になってあげてほしい。自分でどうにかできなくても適切な箇所へつなぐだけで救われます。

イベント終了後に田尻さんと少し話しをしましたが、私の話しも傾聴してくださり、全身から優しさがあふれていました。こうのとりゆりかごへの電話は全国から殺到しているそうです。日本中で子供を支える環境になっていくことを共に望みました。

つづき元児童相談所所長 矢満田さん
(写真はすべてマイナビニュースより)

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