「一生涯同じ異性しか愛さない方が不自然〜」と私の友人は言いました。家庭円満ですけど。
結婚して3年ころ、若かりし頃に父に聞きました。人生の先輩として。
「ねぇ、夫婦間の愛情ってどのくらい続くの?」
「えっ?1年くらいじゃない?」
即答でした。。。さすが我が父。娘に聞かれてその回答。
1年は過ぎていたので、まあ、自分は頑張っている方かなと思えました。
愛は永遠ではないのです。結婚生活は努力と忍耐の賜物です。
不妊治療の末の離婚ってありますね。もしかしたら子供ができていれば離婚にならなかったかもしれないカップルいると思います。赤ちゃんがすぐに出来ていれば、お互いの嫌な部分が表面化せず結婚生活は続いていたかもしれません。
不妊治療って、いつまでもいつまでも同じ問題に取り組みますよね。毎回同じ話題を夫婦でしているんです。
「来週に採卵だから、あなたのその頃よろしくね」「わかった」
「凍結できたから、次の周期で移植できるって」「わかった」
「ああ、お腹痛い、月経が始まりそう、またダメだったのかも」「そっかー」
「来週に採卵だから、あなたのその頃よろしくね」「わかった」
同じ会話を繰り返すほど苦しいものはありません。
女性ばかりに負担がいくことによる育児ストレスも社会問題となっていますよね。虐待に及んでしまうケースも。
育児に大奮闘中の友人ママが「起きてるときはホント憎たらしいけど、寝顔見ると一瞬でそんなこと吹っ飛ぶわ」という言葉は私の記憶に刻まれました。どんなに育児が大変であろうと無邪気に「ママ〜♪」と両手を広げて走ってくる仕草がたまらなく嬉しい。そのためだけに頑張れる・・・そんな気持ちが込められているように思いました。
我が子の成長していく姿が、一生懸命やってきたママの努力を写し出している。
不妊治療は成長する物体が何もなく、ずっと二人きりでやっていかないといけない。やりがいも、努力の結果も、残るものは何も無いです。そういう種類のものなんだ、と覚悟して取り組まないといけない。すぐできればいいんだけど・・・
人は、余裕があるときに人に優しくできる生き物。
余裕がなくなる不妊治療。。。優しくしなくてはいけない時なのに、余裕ないから優しくできない。
楽しい時だけ話して旅行していたらどれだけ良いか。しかしそれは家族ではないですね。高校生カップル止まりでしょう。楽しい時も嬉しい時も、悲しい時もつらい時も一緒にいるのが家族。もし子供が生まれ育てている時、子供につらい出来事があったら、親は逃げますか?見ない振りしますか?
夫婦も”つらい時こそ”しっかり向き合わないといけなんです。
夫婦は家族のはじまり。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)