突然ですが、ペットはいまの時代「家族」。
「あなたの家族を教えてください」と聞くと、「犬」や「猫」も家族に入れるのが今や当たり前らしいです。一人っ子が多いので、ペットは兄弟や姉妹と考えるそうです。
そんな私が2年前、インコを飼いました。鳥類・・・未知の分野です。
人間を癒してくれる動物は犬、猫くらいだと勝手に思いこんでましたが、そんな概念をひっくり返すほど小さなインコは私たち夫婦を癒してくれます。肩にちょこんと止まりずっと一緒。おしゃべりの練習をしています。
子供が欲しい人はペットを飼ってはいけないよ・・・なんてよく言いますよね。ペットに夢中になり子作りしないからとか。インコは超かわいいけれど、子供は子供、別です。子供が欲しい気持ちに変わりはありません。それどころか、子供が小さい時から動物を育てるっていいな、命のことを教える絶好の教育。ここに赤ちゃんがいてくれればいいなと思っています。
私はインコを育てていろんなことに気づきました。
まず、「やっぱり何かを育てたかったのだ!」「大変だけどお世話がしたかったのだ」ということ。
餌や野菜の好き嫌いがあるので食べてもらうように工夫をこらしています。その食品がインコの栄養となり、どんどん成長して体重が増える姿を見ると、努力が形になったようで嬉しさを感じます。インコ特有の病気になった時、小さな体に注射をしました。不妊治療の注射は1本でもしたくないけれどインコのためなら注射を代わってあげたいと思いました。自分以外の誰かを守るってこういうこと・・・もう溺愛です。
世の中に私を必要としている人(鳥)がいる。私は今、「死ねない」と本気で思いました。
鳥類が哺乳類と違う最大の特徴は「飛ぶ」ことと「卵を産む」ことです。
インコは1歳で成鳥になりオスと交尾しなくてもメスは卵(無精卵)を産みます。ある日突然、白い丸いものがケージにあり、なにこれ、卵!!!!初めての娘の出産に立ち会う気持ち・・・オロオロ。
私が卵巣刺激ホルモン注射を何本もして採卵日に1個採った日、インコは4個目の卵を産みました。負けた!!!
ピチピチの妊娠適齢期のインコの女子力は高く、どや顔されています。そして誰も教えてないのに卵を温めはじめます。本能。
ネグレクトなんてないのです。自分の餌を食べることなんてあとまわし、ひたすら健気に温めるのです。しかしいくら一生懸命温めても、無精卵なので孵化することはありません。
私は、、、ふと「この子のDNAを継いだ雛が見たい」と思いました。オスとかけあわせて、有精卵を産めば、雛が生まれる・・・
ペットショップに行けば同じ色のインコはたくさん売ってます。2500円のお手頃価格。
だけど、大好きなこのインコの子が欲しい〜〜〜〜っ
あ!これは!!!何かに似てるっ!
孫を切望する父と同じこと言ってる!!
・・・インコで気づくなんて。
父は私が大好きだったから、私の子が見たいと思ったのかもしれない。
父が私を好き・・・それは当然すぎて、深く考えていなかったけれど、赤ちゃんとして生まれ、お世話を繰り返し、成長して大人になった私が子を産んだら育てた親としては感無量ですよね。
子供のいない私にはわからないけれど、愛する子供が産んだ子供って更に愛おしい。だから弟が子だくさんなのに、私に「孫を〜〜〜」と父はずっと言い続けていた。
インコのおかげで少しだけ孫を切望する親の気持ちを理解した気がします。ありがとうインコちゃん!
今回は、インコの話におつき合いありがとうございます。ピヨ
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)