原因不明の不妊の心理

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頭痛でも、胃痛でも・・・どんなことでも人は原因を考えます。

原因がわからないと、モヤモヤした気持ちで病院を転々とする患者さんは多い。

必死に訴えても、「わからない、異常ない」と言われると、こんな辛いのにどうして、じゃあなんで頭がこんなに割れそうに痛いの!と思ってしまう。

胃痛がひどく、先日私は病院に行くとピロリ菌が住んでいました。胃カメラの画像を見せられ、ここの内膜が弱くなっているピロリ菌のせいであろう、と診断が下されピロリ菌の除去治療を行いました。これはすごくシンプルな治療モデルの例ですよね。

 

不妊でも原因不明は11%あります。今日はそれについて書いてみます。

 

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まず、生殖心理士 平山先生の記事を紹介させてください。
通常、不妊体験者が医療機関を受診するのは、自らが不妊かどうか、不妊であればその原因は何なのかを明らかにしたいという期待をいだいているためである。不妊患者は不妊原因が判明すればそれに対する対処法、すなわち治療法があると考え、それに沿って適切に対処することで不妊の問題を解決、つまり妊娠が達成できると期待するのである。これは生殖医療に対してだけではなく、一般にわれわれが医療に期待する治療モデルであるともいえよう。しかしながら、不妊を疑い医療機関を受診した場合、実際にはこの流れのとおりには進行しないことが多い。原因が判明せず「原因不明不妊」と診断されることがままある。(生殖心理士 平山先生の記事「不妊患者の心理を理解する」より)
これを読んだ時に、なぜ今まで原因を探し求めさまよっていたのかがわかりました。私は他の臓器の不具合のように原因を探し「治療モデル」という型にはめようとしていた。。
「原因を見つけ、それを治療すれば妊娠する」と私の頭の中の治療モデルがそう思わせていた。いや、その前に「あなたは不妊」「あなたは妊娠できる」と診断されるものだと思っていた。
でも、今ならわかります。一般不妊検査でわかることは限られている。
”あなたは絶対妊娠できない”というのは誰にもわからないことで、子宮摘出している場合など明らかな疾患を持っている場合以外は、ほとんどは可能性の高い治療方法をあれこれ試しながら進んで、偶然妊娠するのを待つ状態・・・。
不妊治療を始める前に知っておきたい知識ですね。
そして平山先生は、原因不明の次のステップを、こう説明しています。(簡易的に省略)
原因が不明
対処が必要ない、もしくは対処方法がない
不安
高度医療技術を用いることで妊娠を可能にする方法を医師が提示
原因がわからないのにどうして治療できるのか疑問
治療そのものに不安
原因がわからないのに治療なんでできるの?って不思議に思うのは当然。悪いところを治療するというモデルではなく、曖昧なところはすっ飛ばして体外受精するのが現代の不妊治療。「原因不明=異常が無い」ではない。
また、生殖医療では妊娠しない原因がわかったとしても対処できない治療できないことは多いです。例えば「内膜が薄いので妊娠しにくいでしょう」と判明したけれど、内膜を厚くすることはできません。「受精卵の分割が悪い」と言われてもそれはなぜなのか、相性、食べ物、卵子の質、精子の質?ハッキリわからないのです。原因はひとつとは限らず、卵子、精子が受精卵になり、着床(妊娠)するまでたくさんの関門を突破する必要があります。見えている原因の他に見えない原因は数多くあるかもしれません。
正解のない治療だからこそ、ステップごとに医師と話し合いながら決めるのが大事だとつくづく感じました。
不妊治療のモヤモヤが少し理解できましたか?
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