妊娠を望んでいる間は、年を重ねることが怖く、ひと月たりとも無駄にできない気持ちでいっぱい。
なかなか妊娠しない自分や、ちょっと協力が足りない夫のささいな行動にやきもきします。
まして、不妊クリニックに通院していると、通院時間とお金を使ってがんばっているのに・・どうして良い知らせはないの、と自分ばかり損しているようで、すねて引き篭もりたくなります。
まぁまぁ落ち着いて、他の楽しみ見つけて、趣味とか、ガーデニング、料理教室などしたらどう?
そんなもの、心が満たされず空回りです。やってみましたよ、気分転換ってことで色んなこと。
その時は楽しいです、でも、なにかが違う。今、これじゃないんです。私の気持ちは赤ちゃんに向いていて、赤ちゃんのお世話がしたいの。みんながやっている、子育てが。
だから、いろいろ大変だけど、耐えている。注射1本も汗出るほどつらい。会社のメンバーに謝り遅刻早退、突然の休み。頭を下げてばかり。
そんな時に、「子供まだできないの〜?」「子供はいいわよ」と言われる場面は次々にやってくる。夫の上司と会食とか、ホームパーティで妊娠中の人がいたりすると、逃げ場なく公開処刑のよう。
同じ人に会うたび聞かれることも。もう会いたくない。
「女性の幸せは子供を産むこと」と幸せの価値を決められたり。
悲しくなる、妊娠できない自分が。
妊娠には適齢期があり、早い方が妊娠率が高いとどこを見たって書いてある。漢方や鍼灸院、整体、ヨガなどなど、できることいろいろ頑張ると、「そんなに子供のことばっかり、焦らないで」と言われる。
どっちなの・・・?早くしてとか、焦らないでとか。
不妊治療をしていると話すと、「子供だけが幸せじゃないよ」と言われる。
あんなに「子育てしてこそ人として成長できる」とか言ってたのに?
そんな周囲の声に一回一回敏感に揺さぶられ反応していた私がいました。
あの頃必死で、心の余裕は全然なかった。今も、「この人失礼だな・・・」と思うことはあるけれど、ちゃんと反論する術を身につけました。
心の余裕ができてきて、気づいたことがあります。
それは、「赤ちゃんまだなの?」と人は言います。
すでに何回も何回もその質問をされているこちらとしては、そのフレーズだけでイライラスイッチがオンになりますが、その言葉の奥には続きがきっとあって、「あなたに赤ちゃんができると、私は嬉しいな」という赤ちゃんを授かって欲しい願望が込められているのではないか。だから、赤ちゃんができたかどうかが知りたくてたまらない、気になる。もしや応援者かもしれない。と、思ったりします。
きっと周囲の友達も、一緒に子育てをしたい、だから言っている。
親は、子を持ってあなたを育てた喜びを経験している、自分の子にもそんな幸せを味わってほしい、だから言っている。
この人たちは、もしも妊娠した時に人一倍喜んでくれるかもしれません。心に余裕がでてきた今だから思うようになりました。(例外はいますよ!)
頑張っている最中は心に余裕がないので、同じ言葉で言われても感じ方、捉え方が違います。
そっと見守ってくれるのが一番なんだけど、ね。
みんなで語る「コウノトリの会」お知らせ
3月30日「35歳以上のアラフォー会@白金台」
不妊治療中のモヤモヤを話しませんか?
13時半〜15時半
2000円
詳しくはコウノトリこころの相談室まで
4月20日「流死産を経験した女性の会@白金台」
13時半〜15時半
3000円
コウノトリの会チラシ
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)