周囲の言葉で追い詰められることは不妊だと多々あるシチュエーション。
その中でも親戚が集まるお盆休み、正月休みはこれらの言葉は頻繁に飛び交います。
赤ちゃんはまだ?お子さんの予定は?
次はあなたの番ね、早く親孝行してあげて
子供を産んでこそ一人前
「孫誕生」は命をつなぐもの、一族にとって最大の幸せイベントです。ゆえにゆえに・・です。
質問の聞き方はいろいろですが、ただでさえ友達から遅れをとって焦っていたり、親戚に赤ちゃんが次々生まれて落ち込んでいるのに、デリカシーのない言葉たちは更に不妊当事者を追い詰めます。
劣等感を抱えると、
自分に自信がなくなり、何をやっても私はダメ
早く妊娠して一人前にならないと
家族を完成させないと、今は未完成
今の自分は母となる経過途中で何者でもない。
どんどん今の自分が透明人間のように嫌いになってしまう。
そのままでいいと言ってくれたらどんな楽かな。
帰省したら相変わらず妊娠しない私は親戚からまた詰め寄られるだろう…と気持ちがふさぐことがありました。「まだ妊娠しないの?なにやってるの?」としつこく聞く実父と、堪忍袋の緒が切れて(今ドキ言わない?)激しく言い合いをしたこともあります。
周囲の言葉に一回一回翻弄されるのは健康に良くないのは知ってるけど、不妊治療で限界まで頑張って弱ってる当事者にとって、心ない言葉のダメージは大きく、とても傷つきます。
「赤ちゃんは?」という言葉、たとえそれが挨拶代わりと言い訳されても、言われる方にとっては挨拶のように大勢から何度も問われるとノイローゼになりますよね。
このように私は周囲の心ない言葉にかなりダメージを受けて辛い時期にもっと辛くなっていました。
これからのみなさんにはぜひ、自分を大切にしていただきたいと思います。
まず、「赤ちゃんまだ?」と聞かれたらどんな対応をしていますか?
笑ってごまかしてその場が過ぎるのをただ待つ人は多いでしょう。不妊治療をしているとはっきり告げる手もあります。ひとりひとりとなら「実は頑張っているんですけれど、なかなか」と話せるかもしれないけれど、食事の席やお酒が入っている場で突然聞かれると親戚一同の視線が集まり注目、すべての人に納得してもらえる回答を言うのは荷が重い、いえ、きっと不可能です。
例1、笑ってごまかす
「アハハハ・・・」って笑ってごまかした時、その後は収まりましたか?
ヘラヘラ笑ってるからこの娘何も考えていないと認識され、「大事なことなんだからちゃん考えてるの!?」「早く親孝行してあげてよ」とおせっかいオバさんに強く言われるパターンに突入です。
例2、不妊治療をしていると告白
不妊治療していると告げた時、「どっちが悪いの?」「そんなことして生まれる子は大丈夫なの?」と言われることもあります。原因不明が多いことを知らない人も多く、知識がないため偏見のような言葉を言われることもあります。
だいたい、公の場で大きな声で話す内容ではないのです。
しんどい時は帰省の日程をずらして親戚が集まらない時にお墓参りに行くなど方法はあります。
どうしても欠席できない、または欠席したことで重圧が更にかかる場合は、不妊セミナーなどで話している「不妊カミングアウトの心得」を参考にしてみてください。
不妊カミングアウトの心得
1、その人はあなたにとってどんな存在?
盆暮れ正月、時々しか会わない親戚はあなたにとってどんな存在なのか考えます。近所のおせっかいなおばさん、めったに会わない同級生、しつこい不謹慎発言の上司なども同様です。
「大切な人、わかって欲しい人」「それ以外(どうでもいい人) 」に分類してみましょう。
2、すべての人に言わなくてもいい
人は質問されると、答えなきゃ!と思ってしまいます。ですが、ノーコメントでも良いんです。私たちのプライベートなことを全ての人に話す必要はありません。「あなたには教えない、話さない」とあなたが決めて良いのです。
3、理解してもらうことではなく、伝えることに意味があると考えて
「不妊治療している」と話したらきっと「大変なんだね、がんばってるね」という返答を心のどこかで期待してたのに、見当違いの言葉をかけられることがあります。そうなると「言わなきゃ良かった」「わかってくれない・・・」と話す前より落ち込みます。理解してもらうことではなく私たちの状況を知ってもらうだけで目的は達成としましょう。
まとめ
当時私は、世界中に怒っていました。どんなに願っても頑張っても子供を授からない人がいるのに、どうして気軽に不謹慎な発言をする人がこの世に蔓延っているんだろう、許せない。撲滅する!世界からその言葉を消す!!と真剣に思ってました。しかし、パワーは有限です。不謹慎発言をする人は「それ以外(どうでもいい人)」でした。その人にパワーを使うなら、大切な人との絆を深めることの方が重要だと気付きました。特に不妊のストレスは強く、ひとりで乗り越えるのは難しいですよね。周りの大切な人、わかって欲しい人の環境を整えることがストレス軽減になり、外部からのバリアにもなります。
ぜひ分類してみてください。
8月の妊活もやもや会ではそんな周囲との関係のことも話しながら進めていきます。
参加者あと、2名くらいOK。絶賛募集中です。
(お知らせ)
8月のコウノトリの会のテーマは「夏の妊活モヤモヤ会」です。
日時 8月31日(木)18:00〜20:00
場所 港区立白金台いきいきプラザ(最寄駅 白金台徒歩1分)
参加費 3000円(リピーター様 2000円)定員5〜6名
対象:赤ちゃんを望んでいる方(不妊治療の有無は問いません)
お申し込みはコウノトリこころの相談室HP
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)