妊活の努力は果てしない
妊活中のみなさんは病院に通うだけではなく、実にいろんなことを試されていますよね。
ヨガ、ピラティス、呼吸法などの運動
そして、漢方薬、サプリメントなどの薬
鍼治療や整体、ツボ、子宝マッサージ、よもぎ蒸しという体質改善
日々の食事は当たり前、
通院して、痛い注射を何本も連日打ち、病院で3時間の待ち時間、お腹が腫れて痛くなったり、副作用で身体がだるい。それに加えて病院以外にも妊娠に良いよと言われるものを取り入れ努力をしているわけです。
昨日より今日、健康に近づくため、妊娠に近づくために女性は頑張っています。
2人の赤ちゃんを授かりたいために。
男性ってホントに無力かな?
「妻に何もできなくて見ているだけで苦しい」「注射何本打っても痛くないから代わってあげたい」という男性が時々います。優しいですね。
奥様が頑張っている隣で自分は無力である、と嘆いています。
しかーーーーし!
男性諸君。あなたは何もできないと勘違いをしています。
実際、肉体的苦痛は代れません。
代わってあげたい気持ちは嬉しいけれど、それはまず伝えてますか?
気持ちは声に出して伝えないと伝わらないんですよ、テレパシーではダメです。
まず、奥様が頑張っていると思っているなら、それを伝えてください。
肉体的苦痛は「イタイイタイ」と言えるから見えやすい
不妊治療は「肉体的苦痛」「精神的苦痛」「金銭的苦痛」の3重苦と言われますが、精神的苦痛によるダメージはとても大きく、不妊は癌告知をされた時と同様のストレスを感じると本で読みました。
先ほどの「自分は注射が平気、痛くないから代わってあげたい」というのを例にすると、注射が痛いのは「肉体的苦痛」です。その中にもうひとつ隠れています。なんなく妊娠する人がいるのに、自分はこんな注射を何本も打たなければいけないという状況が悲しい。「精神的苦痛」です。
男性ができること、ここにあります。
奥様の頑張り、苦労、悲しみを知っているのは誰?
代わってあげたいくらい頑張っている奥様のその状況、苦労を知っているのはこの世にただ1人、あなたです!旦那様しかいません。ゆえに、旦那様が支えてくれると本当に心強いです。
就職活動とか、仕事の悩みだと周囲に相談できること、個人的に努力すれば結果は目にみえる形で現れます。でも不妊は、相談まずできません。「私は産めない身体」と公表したい人なんていません。自分で思ってなくても社会の子ナシハラスメントにさらされることになるので、うかつに「不妊」ということはカミングアウトできないんです。
また、相談してもこの苦労を一から話せるかというと、友達同士のワイワイしたおしゃべりでは不可能です。
精一杯頑張っても「そうなんだ〜大変だね〜、早く赤ちゃんできるといいね〜」と言われ、一方的に励まされる感じになるでしょう。それは仕方ない。応援してくれるだけでありがたいです。
が、
苦労を分かち合うことまではできません。
実際のところ、不妊状態の苦悩を知らなければ想像することは困難だし、その人が不妊だとしても、状況が同じ人はいないのです。
苦労を分かち合える人・・・それこそ、旦那様です。
じゃあ苦労を分かち合うってどういうこと?
何もできないなんて言わないで、今こそ不妊治療を頑張っている奥様の支えになってあげてほしい。それが男性の役目です。逆に言うと旦那様にしかできないことです。
ご主人様から、僕は何をすればいいの?とよく聞かれます。
奥様に何をしてほしいの?と聞きました。
奥様は「ただそばにいて欲しい」と言いました。判定日や移植日、体外受精の日、「その日くらい今日は大変だったね」と言って横にいて欲しいと。。メールやLineの報告で終わりにするのではなく・・・。
その日がいつなのかわからないから飲み会が・・・って言葉、聞き飽きました。
女性はそれずっとやってきています。いつかわからないことを何回も何ヶ月も何年もしています。多くても1ヶ月に1度の判定日。予定の調整を一生懸命考えて、奥さんの隣にいてほしいです。
それが、苦労を分かち合うはじめの一歩。一緒の時間を過ごす。
判定日、言葉が弾まない、気分が落ち込む、沈む、ため息が自然と出る、
移植した確かに動いていた受精卵の赤ちゃんが消えてしまった。涙がでます。
その場にいるから感じることがあります。
女性の精神的苦痛を増やすか減らすかは男性にかかっていますよ。
ファイト、男性。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)