赤ちゃんを望んでいる人にとって排卵日は当然ですが、大事な日。月に一度のスペシャルデイです!
だけど、その日を指定された途端、その気にならない・・・ブルーになる・・・朝から憂鬱・・・残業を入れる・・・飲んで帰る・・・
排卵日を気にして1回、2回、3回・・・と3ヶ月くらいハズレが続くと、前向きだった気持ちもトーンダウンしていきます。体温の上下に敏感になり、月経が来ると絶望します。
「そういえば妊娠しない、検査した方が良いのかな?」と思って病院のドアを叩く時、すでに夫婦は数ヶ月〜1年はトライしているわけですよね。なのに病院では「まずタイミング療法から始めて様子みましょう」といった流れが一般的です。
医療行為なのか、医療行為ではないのか曖昧なタイミング療法。排卵日指定はされるけれど最後は自分たちに任されている、とてつもなく不安定な治療です。私が最初に訪れた産婦人科の医師は、基礎体温表の排卵日に「ハートマーク❤」付けました。そんな冗談にもすでに私は笑えませんでしたけど、、、
私が学んだことは、
人間は指定された日に性交渉できない動物なんです。。がんばっても半年が限界!
義務的なセックスはおもしろくもなんともない、苦痛のみ。
不妊クリニックには年齢が若いからとか結婚してどのくらい経過してるかだけで判断せず、その患者のストレスレベルに合わせて治療方法を提示してほしいです。
9月27日の記事にこんなのがありました。不妊治療で向き合う「性機能障害」2016年9月27日(yomiDr・泌尿器科医・小堀善友の新オトコのコト)
タイミング法は義務的な行為がストレスを生み、逆効果である。治療前より性交渉の回数を減らしてしまう(日本生殖医学会の研究)。不妊治療に関連した性機能障害は、心因性(機能性)勃起障害の典型例。
深く同意です・・・
心因性とは心の状態、たとえば不安や願望などによって引き起こされる病気です。
「今日、排卵日だから」と妻に告げられ「どうしよう失敗したら・・・」という不安から勃起しなくなる。「今日は大事な日だったのに」と妻は悲しみ、それを見て夫はまた落ち込んだり怒り湧いてきたり、負のスパイラルをどんどん進んでしまう。
笑えないけれど「枕で妻の顔を隠せばできる」とか「相手が変わったらできる!」という男性の意見を聞いたことあります。ひどいけれど、それくらい心と性機能は関連している。ですよね?男性諸君。
で、忘れずに付け加えますが、女性だって好きで排卵日指定してませんからね。できれば自然が良いですよ、でも残業で帰ってこないでしょ。女性も真剣なんです、月1回の排卵日にかけているんです。病院に行ってチェックするのが女性なので、女性から男性に伝えるしかないのです。
独身の人から「どうして好きで結婚した相手と性交渉できないわけ?」と不思議がられることがあります。だけどね、それはあの「今日してください」という指導がどんだけ大変か知らん人です。自然な空気の中でしか性交渉をしたことがない人が言える言葉です。
記事ではPDE5阻害薬(バイアグラ、レビトラ、シアリス)が非常に有効と紹介しています。赤ちゃんが欲しいために頑張っているのに、前よりも夫婦仲がぎくしゃくしてしまったら元も子もありませんよね。2万〜3万の費用でできる人工授精も考えてみてください。フーナーテストの結果が悪い抗精子抗体にも効果的です。
また、不妊治療を始める前の段階では年齢が若いケースが多く、周囲は妊娠・出産ラッシュで年賀状は赤ちゃんのどアップ写真ばかりということがあります。友達に相談できる環境ではなく、結婚から何年も経ってないため親からの「孫プレッシャー」も加わります。ひとりで抱えず、支援機関を利用してください。(過去の自分にも言ってあげたいです)
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)