卒業式シーズンですね。
道行く人が平日なのに華やかな袴姿、うっかり成人式?結婚式?って思ったら卒業式でした。子育てしていないと旬な話題に乗るのも一足遅いです。
「卒業」って美しいイメージがありますよね。あとは、そこにうしろ髪をひかれながらさよならを言う名残惜しさ。
最近は会社を辞める時も「卒業」っていう人がいて・・・AKBみたい。たしかに退職や転職、脱会よりも卒業というと、なんだか晴れ晴れしい門出。
「戦いからの卒業♪」って尾崎豊は歌ってました。アラフォーならわかるよね・・・
不妊治療は、まさに戦いです。尾崎さん、戦いからの卒業はいつ来るのでしょうか。決めてくれるならすごい楽なんですけど。
「卒業おめでとう」って何がおめでたいのでしょう。
それは、きっと、学生たちが日々学校に通って、紆余曲折しながら友達を作り、交流し、協調性を学び、テスト勉強を含め、いろいろな努力を重ねた年月がそこにあります。その年月をがんばって過ごしたことに、やりきったことにおめでとうだと思うんです。
大事なのは結果ではなく、プロセスです!
そういえば、不妊クリニックで妊娠して産婦人科に転院するとき「卒業」って使いますね。
妊娠する人のうしろには同じくらいの妊娠しない人がひっそりいます。妊娠せず治療を離れる人にも、今日までの日々お疲れ様でした、長い間がんばったという卒業証書があってもいいよね。
あなたは雨の日も風の日も不妊クリニックに通ってきました。
涙を流した日、数えきれません。悔しい思いをした日、数えきれません。
落ち込んでも、くじけそうになっても、夫婦でズレがあっても、
なんとか前向きに、ただひた向きに赤ちゃんを授かることだけを胸に、がんばってきました。
長い間お疲れ様でした。不妊治療の過程を修了したことを証する。
なんちゃって卒業証書でした・・・
3月のコウノトリの会は「不妊治療のやめどき会」。まさに卒業のことを語ります。
3月27日(月)18時から20時
場所:港区白金台
参加費:3000円(リピーター2000円)
定員:5名(残席2名)
対象:やめどきを考えている女性or夫婦
詳しくはコウノトリこころの相談室
二人の生活を想像してみたり、
どうしたらやめることができるの?諦められるの?
悲しい作業で、いままで避けてきたことかもしれません。ひとりではしんどいけれどやめどきを考えている当事者同時で話してみませんか。
いままでのご自身の不妊生活を振り返る場にも使っていただきたいです。
=====追記=====
このブログを書いた後に、子どもを授からず不妊治療を終える患者さんに卒業証書を用意しているクリニックが岡山県にあるという情報をいただきました。(鹿児島のM先生ありがとうございます)
子どもを授かって卒業する時に小さな儀式を設けているクリニックはお見かけしますが、授からずして去るときこそ何か目に見えるものがあると、自分の中に「区切り」がつけやすいですよね。「今までの自分お疲れ様」という気持ちを素直に受け入れる助けになると思います。きっと戦場という名のクリニックからの卒業証書は、これからの二人の人生の支えになってくれるでしょう。岡山のクリニックさん、いいな〜。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)