5月28日表参道にてWAKOMO会の初主催イベント「小さな命をなくした体験を語り合う会〜流産・死産という悲しみについて〜」を開催いたしました。(詳しくはWAKOMO会HPの報告をご覧ください)
当日は、流産・死産から1ヶ月経過していない方から、数年の方まで幅広く参加いただきました。
1部は、主催者3名(モリーヴ永森さん、お空の天使パパ&ママ会石井さん、コウノトリこころの相談室池田)の講演。そして2部は5名ほどにグループで分かれお話会でした。
カップルで参加も目立ち、50名満席の開催でした。
コウノトリこころの相談室をご利用くださっているクライエントさんも会場にいらしてくれました。普段は支援者としてみなさまにお会いしていますが、この日は私自身の体験をお話しました。
いつもですが、涙がでます。
まず、前に立った時に、みなさんの顔を見て、この会場までよく来てくださったな・・・と思うんです。朝起きてここまでくるのは大変だった方もたくさんいただろうなと想像すると、私だったらあの時、来れただろうか・・・って。行きたいけれど、関心あっても、実際に外に出る勇気あったかなと考えます。
着替えて、電車乗って、不特定多数の人とすれ違って、道ゆく人には子連れファミリーや赤ちゃん連れもいるかもしれないのに、ここまで頑張って来てくれたんだなって。
WAKOMO会を結成した理由はひとつで、周囲に同じ悲しみを分かち合える人がいなく孤立してしまうのを防ぐためです。出産前の「胎児の死」の悲しみは理解されないことが多くあり、医療従事者、医師、心配してくれる家族からの言葉でさえも傷ついている人がたくさんいます。生まれてないから?でも私たちの中ではもう生きている大切な存在だったのに。周囲とのずれを感じて、どんどん話せなくなってしまう。
イベントはその日の一瞬だけのことかもしれませんが、ネットではなく実際にひとつの場所に集まって交流することできっと、きっと「ひとりではない」「同じように悲しむ人がいる」「悲しんで良いんだ」と体感してくれると嬉しいです。悲しみが減ることはないけれど、当時私は、当事者だけで同じ時間を過ごすことは大きな支えになりました。それが社会復帰の一歩でした。その経験を元に、この活動を続けていきます。
スタッフのみなさんで
毎日新聞の五味記者がこのイベントについて書いてくれました。とても素敵な内容に感謝です。
ハンカチで目元を押さえる人、鼻をすする音。5月下旬の週末、約60人の男女が集まった都内の施設には、こみ上げる感情を抑えようとする人々の姿があった。
我が子を失う経験を経て、カウンセラーとして活動する女性らでつくる「WAKOMO会」(https://wakomo.jimdo.com/)が開催した、流産や死産の経験を語り合う集いだ。自身の経験や再び歩み出すまでの日々を語り、自分を責めてしまう気持ち、悲しみと向き合うすべを伝えた。
主催者の一人とは数年前の取材で出会った。死産を経験した時、誰を頼りとすればよいのか分からず、外出するにも勇気が必要だったという。やがてカウンセリングを学び、今は支え手となった。
こうした集いを開くたび、「何かを求めてたどり着いた参加者の気持ちが想像できて、胸がいっぱいになってしまう」と言う。この日も声を詰まらせながらマイクを握っていた。時がたっても悲しみは消えないけれど、胸に抱きながら生きていける--。そのことを身をもって示そうとする、強い意志を感じた。【五味香織】
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)