今年もご依頼いただき、3年目になる大学での講義。
これは「キャリアとライフ」の1枠で、私は「命を考える」担当。女性のキャリアとライフは「結婚、妊娠、出産」に大きく影響を受けるという内容から始まり、こと結婚・妊娠については個々の意志を聞く前に価値観の押し付けが止まらないこと、不妊のこと、予期せぬ妊娠、乳児院のことを伝えました。
これからの少子化加速時代に妊娠適齢期を過ごしていく若者に、国や社会のプレッシャーがかかることは容易に予測できます。結婚したくない人も子供産みたくない人もいる、そして産みたいのに産めず戦ってる人もいるのに、それはないがしろにされてしまいそう。周囲の言葉や環境のせいで生きづらさを感じないでほしい、そんな世にしていこうみんなの時は・・・これが授業の一番の目的です。
それで、私の場合は不妊と流産、死産を経験した者、そして寄り添うことを仕事にしているカウンセラーとして自分の経験から「寄り添うとは」をみんなで考えてみました。
履修生は心理学部臨床心理学科の160名。将来は心理職に就きたいという人も当然ながら多いので関心高いですね。
どんな人に相談したい?したくない?
私が不妊ということを打ち明けた人とそうでなかった人の分かれ道はどこか、子供がいた方が幸せよ〜〜子供育ててこそ一人前!というあるある価値観の押し付け話もしました。子供がまだできないことをからかわれたり、セックスの仕方わからないのかとなじられたことを話すと、学生たちは信じられないという顔をしてました。ほんと下品な発言が許されていた。今は減ったとはいえ、まだ絶滅はしていない。
死産の時にほとんどの友達が私と接することを躊躇する中で、少数の友達に救われたこと、どんなことが嬉しかったのかを話しました。
友達が赤ちゃんを失ったら・・・
それぞれが
自分だったら友人が不妊や死産をしたら声をかけることはできるのか・・・
何か言ってしまいもっと傷つけてしまうのではないか不安・・・
という戸惑いの声がたくさんありました。
それでも、授業後には
言葉ではなく友人のそばにいるだけでも良いと知り、そんな人になりたい
絶対に考えないようなことを考えた
ふれないことが良いことではない
私にできることは数少ないけど不器用でも寄り添いたい
全員の感想を読んで、若者にこんな風に届いてくれたんだ!と嬉しい気持ちになりました。
このあと、4名の学生からインタビューの申し込みがあり、後日お会いして楽しい交流をしました。それはまた次回ブログで。
学生さんたちThank you!
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)