先日、不妊カウンセリング学会に行って参りました。
子宮内膜症・子宮腺筋症、ホルモン剤と卵巣刺激、男性不妊、受精障害などなどその専門分野の先生方からの貴重な講演を拝聴し、2日間びっしり勉強してきました。頭いっぱい。
その中で特に興味深かったプログラムが「何故、受精が起こらないことがあるのか」というテーマです。(シンポジニスト:国際医療福祉大学病院 柳田薫先生)
受精・・・それは我々の目標、赤ちゃんの命の始まりです。受精しなければ何も始まりませんっ!(><)
精子と卵子をシャーレの中でお見合いさせてるのに受精しないことが幾度もありました。精子と卵子がそこにいるのに。どんだけ相性悪いんだ・・・
で、どうして受精が起こらないのかという点では色んな説があるようですが、皆さんはどう思いますか?私は「卵子の質」が原因って思ってたんです。もちろんそれもあるんですけど、でもそれだけじゃないという話でした。
ICSIで受精しない場合は精子因子によるものが43%もあるのです。女性だけのことではないのですね。
現在病院で行なわれている精液検査でわかることは量、濃度、奇形数、運動率のみです。
ICCIでは培養士さんが視感で精子のグレードを判断していますよね。実際には目に見えない色んなことがまだまだ関係してるんです。でもそれを我々患者が病院で検査できるかというと今は非現実的だそうです。費用や時間が関係していると思います。まだまだ生殖医療は未知の部分が多いのです。
こうしたら妊娠する、というのはわかっています。
でもどうして妊娠しないの?というのはわかっていないのです。
すごく簡単に説明すると、卵子と精子が出会い、受精して分割が始まりますよね、その時「卵活性化」というのが起こります。←卵が目覚める状態。その卵活性化因子は卵子と精子どっちが持っているのかというと、おそらく精子ということがわかってきたようです。これが欠如してると卵活性化障害として受精しないそうです。
卵もピカピカ、精子もびゅんびゅん、なのに受精しないという人は卵活性化障害が考えられるわけです。
あとは、精子について印象的だったのをいくつか、
・精子のコレステロールが高いと受精能獲得が遅い
受精能獲得というのは、受精できる状態になるまでの時間です。精子は射精されてすぐに受精できなくて、平均5、6時間くらいかかるそうです。それまで自然もしくは人工授精であれば卵管でじっと待機してるんですって。かわいいですね。精子コレステロールが高いと待機時間が長くかかる、卵が卵管をコロコロ転がって来る時のタイミングを逃すことがあるってことですね。
・精漿中亜鉛は過度のSS結合が産生されないようにコントロールしている
精巣内で精子が形成されるときにSS結合というのが必要になるんだけど、それがあまりにも固い絆で結合されてしまうとそれはそれで障害になるらしいです。で、ほどほどな状態に保つためコントロールしてくれるのが前立腺から出る「亜鉛」ということです。亜鉛が不足しないように牡蠣やらアサリを男性は食べましょう〜というのはここから来ていたんですね!今更なっとく・・・食べましょうね。
ヘタな説明で本当に申し訳ないのですが、、、精子因子について書いてみました。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)