聖路加看護大学ではペリネイタル・ロスのケアを普及することを目的に看護者を対象にした、ペリネイタル・ロスのケアに必要な知識、態度、スキルを学ぶ「ペリネイタル・ロス看護者研修プログラム」というワークショップを行っています。
ペリネイタルロスとは、
流産、死産・人工死産、新生児死亡、人工妊娠中絶など、お産をとりまく赤ちゃんの喪失
です。
私は死産を経験した当事者として、この研修で看護者のひとつのグループに体験談をお話ししました。
死産した時に一番近くにいるのは医療従事者です、気が動転している時、そばにいるのは良くも悪くも医師や看護師、助産師さんたちなのです。
いままで死産のことは語られることなく過ぎていましたが、昨今研究が進められ、色んな意見が表にでてきました。
病院で亡くなった赤ちゃんを生きている赤ちゃんと同じように扱ってくれて嬉しかった、その反対もあります。
忘れられなくなるからと赤ちゃんに会わせてもらえなかった。
悲しいことに赤ちゃんの死を重く受け止めてくれない、理解していない対応の医師もいまだいます。「旦那さんが死んだわけじゃないでしょ。」と言われた人もいます。
なんとういう・・・こんな医師は問題外ですが、
もちろん悪気の無いささいな一言、それも全部心に残ります。
悲しい言葉や対応は入院中に二次被害となり、母親たちを更に苦しめ快復の妨げになることがわかっています。
以前よりこの研修の存在を知っていたので、協力できることがとても嬉しかったです。死産の体験談は、話しをしたことがありません。あの頃のことを話す機会もめっきり減りました。2年過ぎ、平和に日々暮らしています。
でも年間死産する人は27000件、どんなに医学が進んでも必ず死産する方はいます。この研修を受講した看護者さんたちが日本各地の病院へ戻り、死産した人へのケアのヒントに役立つなら私の経験を話そう・・・という気持ちで当日向かいました。
ちょっと長くなったので つづく
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1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)