40歳をターゲットとした雑誌DRESS11月号を手に取り、
「卵子凍結は働く女の救世主たりえるか?」という特集(連載)に目が止まりました。
ファッション女性誌でも特集組んでるんだ・・・。卵子凍結の関心は高いんですね。
内容は卵子凍結を決意した読者モデルA子さんと女医さんの対談、そして実際にA子さんが卵子凍結に至るまでを連載で追うようです。
「私、A子さん以外の友人にも凍結をすすめています」と女医さんの第一声。「5年前だったら私も間違いなく凍結させていた」とのこと。
でも女医さんのひざの上には子どもが。女医さん37歳。
「もしも子どもができなかったら○○してた」という子持ちの人の仮定話しはなんとなく適当に聞こえてしまうのは私だけでしょうか。「もしも子どもができなかったら夫婦2人の生活を楽しんでたのに〜」「代理出産したのに〜」などなど何でも言えますね。
「では第二子のために卵子凍結どうですか?」とA子さんに逆にすすめられたのですが、女医さんは「私は家系が多産型なので自然妊娠すると思う」とうまくかわしている。
でも他人にはすすめている。
なんだろー。これを読んだ時のモヤモヤは。
DRESSの読者は独身女性が多く、服の値段からもある程度の責任ある仕事に就いていてお給料もそれなりに高いと思われます。結婚や出産は後回し、仕事バリバリやってきました!って人。
そんな読者がこれを読んで卵子凍結さえすれば「いつでも産める」「出産をコントロールできる!」なんて思わないかしら。
A子さんは38歳未婚。今回病院で凍結のカウンセリング(流れ)を受けたそうですが、ここで初めて麻酔をすることを知ったと語ってます。それは基本なんだけど・・・というかだったら膣から針を刺すことは知っているのかな、って不安になります。
採卵は絶対安全なんてないし、卵胞を刺激する薬剤により卵巣が腫れる可能性とか、針を刺して出血や癒着、不妊の原因になることもあります、信頼できる医師の話しはされないまま、どこでもどんな医師でもできるって思いそう。
「卵子凍結=これで不妊に悩まない」って話しだけ進んでいる感じがとてもしました。
彼女が凍結することになっても、リアルの身体は日々衰えます。例えば40歳で結婚していざ夫の精子と受精させ、受精卵ができて移植してもOVER40歳の出産に変わりはありません。43歳、45歳の出産となれば更にリスクは高くなります。
「女性のわがままで妊娠、出産を先送りにしているだけというバッシングもありそう」というA子さんの投げかけに女医さんは
「スルーすればいいんです」
でした。
感想、メディアやテレビは莫大な影響を与えます。卵子凍結ですべてが解決されることは無いということを書き添えて欲しかったのと、採卵をしている身からすると安易に友人におすすめするものではないと思いました。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)