男「あなたは子供作らないの?そろそろ遅いんじゃない?早くしないと!」
私「そうだね、ははは。いやいやもう遅いよ。」とごまかした。
ここまではいつものパターン。もう慣れたよ〜
で、ここから!!!
男「そうそう、子供出来ない人っているでしょ、その、病気とかそういう、、あなたはそれじゃないんでしょ?」
え!!!???
衝撃な質問でした。こんなみんなの前で?・・・そんな直球な質問・・・。
サラっ言うけどさ、言えないでしょう。
高校どこ?とか聞いてるんじゃないんだよ。ほんと、、、、、がっかり。不妊治療の末、流産2回して死産した、って言ったら引くでしょ。その後同じトーンで続けられるの?質問した時にすでに「あなたは不妊ではない」って勝手に思って聞いたでしょ、でもそれは勝手な決めつけ、質問するならどんな回答がきてもその後責任をもたなくてはならないよ。
「違うよ」と私が言うと想定していて、「だったら子供作りなさいよ」と続けたかったんだろうね。
「自分が産めない」ってどんな気持ちなのか、相手の立場にたって考えて見るのってそんな難しいことかな?
不妊や不妊治療のことはここ数年でかなり世間に広まった。NHKの番組とか、議員さんや芸能人のカミングアウトで10年前よりは明らかに周知されたよね。
彼らは知識は持っている・・・。
「不妊治療ってすっごくお金かかるんだよ。とっても大変で、み〜〜〜んな苦労してる。」とみなさん大声で言う。
そう、どこかの誰かが苦労しているというテレビの中の話のように話をしている。
妙に情報を知ってるから「僕(私)は常識的な社会の色んな知識は持ち合わせています」的な顔で公の場で話したり他人に質問したりする。
ハッキリ言って、やっかいです・・・やっかいさんです。
なんも知らないおじさん、おばさんの方がまだ可愛げあった?!
あと一歩、あと一歩の想像力が足りない。
その苦労している人が目の前にもいる可能性を考えてほしい。テレビの中だけじゃないの。そしてそれは他人には簡単には話せない程、私たちは悩んでいて、自分の身体なのにどうにもできない無力さを感じ、自分に自信がなくなっていくの。悩みの種類は色々あるけど、持ち家が買えない、貯金が貯まらない、転職が決まらない、というのとはぜんっぜん違う問題で、軽く話せるものではないということをわからなくてもいいから知って欲しい。
子供が産めないって自分に欠陥があるようで、できればこんなこと誰にも知られたくないし、同情されるのも嫌。だから自分から「私、子供できないんです」と進んで言う人はいません。事情を話さないと仕事休めない時に止むを得ず話すことはあるけれど。
偶然会った習い事の場では到底話せない。趣味は趣味で楽しみたいの。
だから、
その質問は何の意味もないってこと、気づいて欲しい。そんな聞き方する人には絶対に打ち明けないんだから。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)