不妊には関係ないトピックかもしれませんが、望まぬ妊娠が養子縁組、里親につながる大事なことだと私は思ってます。前Blog(トイレ出産、乳児殺人容疑で17歳の母親逮捕を考える)からの続きです。
養子縁組や乳児院の勉強会、シンポジウムにいままで参加しているので、トイレで出産、道に捨てた、ゴミ箱に捨てた、というのは大変衝撃的ですが珍しくない事件というのは以前から知っていました。慣れた自分が嫌ですが・・・。
こうようなケース、ほとんどの親が「気づかなかった」と言ってます。
そんなバカな話しがあるの?と活動を共にしているカウンセラーも驚きますが、実際にあります。それだけ我が子への関心度が低いんです。妊娠に気づかないだけではありません、子供の進路、子供の行動、思考について興味が無い、暖かいご飯だって作ってるかどうか。そんな環境という事情があって、そして最後に妊娠に気づかなかったんです。
妊娠という出来事に遭遇した少女は信頼関係のできていない親に言えません。彼氏に言うと、「中絶」と簡単に言うでしょう。どうしようどうしようと言っている間にお腹は大きくなり、もう中絶できない時期になってしまった。友達に相談しても友達だって高校生、「どうすんのあんた〜やばいね」ってなもんで、お菓子食べながら話すのみ、解決策は出ないでしょう。
彼女たちの視野は狭く(私たちだって高校生の時はそうだった)、親や先生以外の大人といえば、バイト先の人くらいしかいないのです。「児童相談所に相談しに行こう、保健所にアドバイザーがいる」、そんな機関があることすら知りません。
ひとりで悩み込んで答えを出さないでほしい。子供の相談を真摯に受け止めて対応してくれる大人はたくさんいます。ただ、、、、その大人に辿り着けないだけなんです。
私が活動を始めて思うのは、仲間がたくさんいるということです。こんなにたくさんの人が他人の子供のために何か活動したいと思っている。子供相談の養成講座は満席で、みなさん志が高い。自分に子供がいる、いないは関係なく、今、子供たちの抱えている不安を少しでも解消させてあげたい、何かしたいという思いだけでみんな受講していました。
子供たち、特に半分大人の高校生に知って欲しい。できるだけたくさんの大人に相談してほしい。大人の意見を押しつけるのは相談ではありません。一緒に考えてくれる人、必ずいます。
そんな相談が来たらどうしますか?
最初に頭に浮かぶのはやはり国の機関ですよね?
児童相談所は全国にあります。ですが、臨月の女性(18歳以上)が切羽詰まって児童相談所へ相談しに行ったところ、「産んでから来て下さい、ここは児童が対象です」と冷淡な態度で追い返されたという例があります。その女性は危機一髪で駆け込み出産をしました。病院で産んだということです。乳児殺人犯になる瀬戸際でした。お世話をしてくれる病院につなげてくれた大人がギリギリで現れたのです。
産んでからでは遅いのです、産む前から相談しないと。日に日に大きくなるお腹でどれだけ不安だったか。
そもそも児童相談所に相談した場合、赤ちゃんはどうなるか知ってますか?
親が子供を育てることができないと主張したら、赤ちゃんは乳児院に入れられます(税金)。そこは家庭とは全く違う場で、ミルクもオムツもお風呂も時間が決まっています。赤ちゃんひとりひとりが尊重されることはありません。また、乳児院から養子縁組をするのはほぼ不可能です。里親は1割程度。児童相談所は虐待案件で忙しいのです、施設に入れておけばとりあえず生きていますからその後の措置まで対応しきれません。
赤ちゃんを保護しただけで良いのでしょうか、生きているだけで良いのでしょうか。赤ちゃんにも人権はありますよね。人として家庭で育って、普通に幸せを感じる権利があります。春夏秋冬も感じず箱の中で暮らしていて楽しいはずがありません。こんなところに預けている親の気が知れないと思ってた頃がありました。でもその状態を児童相談所の係が親に説明してないのです。「(乳児院で)ちゃんと育てます」とか言っちゃってるところに問題があります。赤ちゃんを乳児院に預けている、もしくは預けようと思っている親がいるならば、施設退所後にどれだけ苦労しているか検索してみて下さい。0〜2歳は愛着形成の大切な時期、その時に集団養育をすることはどれだけその後の人生に影響があるか、育てられなくても親です、子のことを思って判断してほしい。
自分が生まれた意味を見つけられず、存在が嫌になり自傷を繰り返す子たちを見ると、私は国が社会的養護と言っている今のケアが何もかもが初めから間違っているのではないか?と疑問を持ってしまいます。
孤児の赤ちゃんを育てたい家族は日本にはたくさんいます、その家族へつなげるためにどこに相談すれば良いのでしょうか。
私は、「予期せぬ妊娠」「望まぬ妊娠」に限っては児童相談所ではなく、こうのとりゆりかごへつなげたいと思います。
こうのとりゆりかご SOS赤ちゃんとお母さんの妊娠相談(24時間フリーダイヤル 0120-783-449)
望まない妊娠により悩みを抱えている人のための相談窓口です。
妊娠にかんして悩んでいらっしゃる方は、どなたでもご利用できます。
赤ちゃんを産む(産んだ)お母さんやそのご家族、
赤ちゃんのお父さんの不安も一緒に受け止め、スタッフが必要に応じた
アドバイスやサービスを一緒に考えていきます。
ここのスタッフは妊娠のプロフェッショナルです。児童相談所のように転勤で他の部署からやってきて突然担当になることもありません。
「こうのとりゆりかご」は「赤ちゃんポスト」の名で有名になった慈恵病院が運営しています。子捨てを助長させると懸念されることもありますが、理事長は「道で捨てられる赤ちゃんをひとりでも救いたいだけ」と涙を流して語っていました。こちらは生まれてからではなく、妊娠中から相談に乗ってくれます。迷っている人でもささいな不安を抱いている人でも、どんな方からの相談も受け付けています。
この情報が予期せぬ妊娠をした子供たちに伝わることを願って。。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)