不妊治療を支援する企業が増えてきていますよね。海外では、FacebookとAppleは卵子凍結費用の補助をはじめ(約210万円)対象は女性従業員(パートタイマーも)、もしくは従業員の配偶者。Appleは養子縁組費用の補助もあり。
社会から「子供授かるといいですね」という暖かい目が向けられてるように感じます。ありがたいことです。雰囲気、流れは良い方向へ確実に変わってますね!
不妊治療していると言って「えーーーーーー!!!」っと目を白黒させて驚く人、私の周囲ではとんといなくなりました。子育てまっしぐらな人にとっては不妊治療は未知の世界かもしれないけれど、情報はそれなりにあるようです。ただ、そういう情報はあっても不妊治療をしている人が周囲にいる場合どうすれば良いか、という相談を受けることがあります。企業も不妊支援について頭を悩ませているところ。
制度があっても利用しにくい、という声もあります。気を使われる、妊娠できない人だと思われたくない、利用して妊娠しなかったら出戻りだと思われる、など理由はさまざまです、でも企業もなんとか不妊治療中の女性に支援をしたいと戸口を開けています。不安に思うことがあるならば、その気持ちを人事や上司に伝え、アクションを起こすことで、制度の中で融通の利くことがあったり、歩み寄れる部分が見えてくるかもしれません。サイバーエージェントの制度は休暇の理由を明かさずに取得できます。生理休暇を男性上司に申請しづらいというのに似ていますよね。不妊の気持ちに配慮していると思います。
他の法律とか制度もそうなんですけれど、制度だけでは活用までに至りません。制度を運用するのは人です。親身に相談に乗ってくれる人事なり、上司、できれば専門の不妊カウンセラー、または不妊の心理を理解したキャリアカウンセラーがいることがベストです。不妊を理解していない方が相談に乗ることは、難しいと思います。
「子供が風邪をひきました、子供が熱を出しました」子持ち社員はあらゆるときに突然休みますよね。親しか頼りがない子供のそばに飛んでいくのは当然のことです。ひとりひとり責任ある仕事をしているとしても、お互い様、助け助けられ、ですよね。
頼れるものは頼っていいんです、子供を産んで復帰してから職場には恩返しする気持ちでいましょう。
私は相談できなかった派です。なので、5年前に退職してしまったんですけれど。後悔はないけれど、方法は他にもあったかな、と思います。
私の思いは、ひっそりと病院に通い、不妊治療なんてしてませんよ〜という顔して何もなかったかのように妊娠出産したかったんです。それは、不妊の自分を見せたくないのと、そんな自分を認めてなかったので、不妊を知られたくないという強い思いが部署の仲間に「相談する」ことを邪魔してました。時代もあります。体外受精は試験官の中で赤ちゃんが育つの?と言われた時代ですから。(んなわけないじゃん・・・)
これは医師が学会で言った言葉ですが、それだけ高齢での不妊治療は難しいという意味です。最新医療で挑んでも自然の流れはある、という説明でした。今も昔も妊娠適齢期は28~35歳まで。35歳ではなく35歳までです。不妊支援を企業がすることによって、早く始めるきっかけになってくれると良いと考えています。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)