分厚い名付けの本が2冊、押入れから出てきました。懐かしいなぁ・・・
女の子か男の子かわからなかったから、どっちも考えていたあの頃。重症妊娠悪阻だったので、この本を眺めることだけが幸せな時間でした。
名付けの本を夫婦で見ていて気づいたのは、自分にも名前がついている(当たり前だけど)のでどんな思いで自分の親が名付けたのかとても気になりました。父は他界しているので聞けなかったけれど、この漢字にはこんな願いや意味があるというのは調べることができた。子供を産むことで、自分の生い立ちも振り返りました。
きっとどんな親でも生まれてくる子に願いを込めてつけるんだろうな・・・
自分が子供を産むことで、親が自分を生んだ時のことを考える。きっと子育てが始まると、自分はどんな子だったとか、子育てにどんな思入れがあったのか、聞きたいことがたくさんでてきて、親子の関係が変わってくるんだろうなぁ。その家庭の料理を代々受け継いで作り続けるように親から子へつなぐものなんろうね。
名付け本と一緒にでてきたのは母子手帳をもらいに行った時に保健所からもらった大量の資料、パンフレット。子供を預ける場所とか、ママ教室、妊婦教室、産後ケア、利用できる施設、バス無料券・・・こんなに支援ってあるの?不妊には何もないのに。この差はすごいわと驚いたものです。
不妊だけではなく、行政にはいまだに流産・死産のケアは一切なく、やはり普通の人の普通の分娩、普通の出産、普通の子供が対象なんだよね。
そして、最後にたまひよの付録。エコー写真やメッセージがありました。毎回の検診で「今日も順調!」の文字。夫の「早く会いたいよ」というコメントを見つけ、ちょっと泣けます。あの頃に戻りたい、と何度も思いましたが、また思いました。
出産した病院では助産師さんがよくしてくれて、足形、手形を残してくれました。その時のメッセージも残ってて、悲しい時だったけれど、助産師さんへの感謝の言葉が書いてあった。普通に出産した人みたいに接してくれて嬉しかったんだと思う。名付け本と母子資料は捨てました。なぜとっておいたのかな〜、使うと思ったんだよね。まだすぐ妊娠したかったからさ。
死産や新生児死亡のことをペリネイタルロスといい、そのケアについて医療従事者が学ぶ場は増えています。このブログにも「ペリネイタルロス」という検索ワードで訪問する人がけっこういます。
当事者に寄り添うために関心を抱いて、勉強してくれるのはとても嬉しいことです。何年経ってもその人のそのお産はその時だけで、きっと寄り添ってもらったことはお墓に入るまで忘れないことだし、その数日の対応がその後の快復にもつながると私は思っています。なので、ここに訪れた医療従事者の方にお願いです。これから死産や新生児死亡で産後すぐに赤ちゃんを亡くされたご家族のことをよろしくお願いします。
(お知らせ)
下記イベントに死産経験者として登壇します
「夫婦の困難 どう乗り越える? 第2回 流産・死産を乗り越えて ~当事者の立場から・支援者の立場から~」
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)