ラジオを聴いていたら「あなたの今年一番のニュースは何ですか?リスナーのみなさんぜひお寄せください〜!」とDJ。クリスマスが終わってから年明けまでの1期間は1年を振り返る総決算、このようなネタばかり。
1人目のリスナーも2人目リスナーも、見事に「我が家の今年のニュースは赤ちゃんが産まれたことです!」でした。「本当に妻に感謝です」「何時間の陣痛の末やっと生まれてきてくれた我が子を見た時には」というとリスナーのコメントは続いてました。
予想通りの展開といえばそうです。1日落ち込むことはもうありませんが、チクチク胸が痛みます。
ああ、ラジオを聴いている赤の他人のリスナーの出産を祝福はしないまでも、せ・め・て・「無」になりたい。
・・・これさ、1通だけでよくない?こんにちは赤ちゃんコーナーじゃないんだし・・・と思っちゃう自分は冷血人間だと思われますね。しかし、考えてみると1年のビックニュースに赤ちゃんが産まれた以上に報告することなんて、わざわざ社会人に無いのです。世界中の誰もが微笑む幸せな出来事。赤ちゃんの誕生はてっぱんです。。
みんなが喜ぶ話題なのに、逆に悲しくなるなったり凹んだりするのは、とっても不利!大勢と同じことを感じて、行動する方が絶対に楽です。私は左利きですが、ハサミもお玉も使いにくい、ドアノブの場所も改札タッチもコーヒーカップもぜ〜〜〜んぶ右利き用!!!暮らしにくいです。ちなみに左利きは小さなストレスが重なり早死にするデータがあります。
東京オリンピック大歓迎〜♫という人は大幅な予算オーバーも許容範囲なのでしょう。子どもの待機児童問題も、困っているのは子育て中の仕事復帰しようといしている一部の母親だけ、世の中の数に比べるとそれは少数。
たとえ少数でも困っている人に目を向けないと、この世は崩壊していくと思いますが、、大勢の意見が通り、少数派はあとまわし、悲しいけどそれが今の日本。
「赤ちゃん誕生おめでとう〜〜〜」が大半の感情です。だからこそ自分が変になったんじゃないのかって喜べなくて悩んでいます。
「友人の出産報告を喜べない」という相談を小町的なサイトに投稿すると、必ずあるのが「信じられない、人間じゃない、女性じゃない、一体どんな神経しているの?」というたぐい。ついでに「他人の幸せを祝えないからあなたは授からないのだ」と相談者をもっと追い詰めるコメントまで。神様でもないのにそんなことが言えるのはなぜ。人の幸せを喜ぶという正義感の強い正論を吐くのは楽よね。
赤ちゃんが嫌いでもないし、赤ちゃんに恨みもない、かわいいと思っているからこそ見るのが辛い、命の大切さを知っているから奇跡が起こっていいなって羨ましく思ってしまうんですけれど。
最近注目されている特別養子縁組でも、予期せぬ妊娠をした女性が養子縁組に赤ちゃんを託したことに対して、「産んだのに無責任」「母親失格」「女として考えられない」というコメントを匿名でもなくfacebookの顔出し名前出しで堂々とコメントしてしまう。育てられない環境という背景を考えず自分の物差しだけでワーワーワーと言う。産んだ人が育てている家庭が大半だから、それが正論みたいになっているけれど、子どもの幸せのために例外を考えるのが大人の役目なのに。
何も進まないこの状態がどうしようもなく嫌で、朝目覚めると”子どもがいない人生”が長くなるだけだから目覚めたく無いと思ってた時期もありました。そんな時に3度目の妊娠。私の妊娠は短く終わってしまったけれど、そのわずかな半年間は周囲からのプレッシャー、社会の不当な扱い、心ない言葉から一気に解放されました。芸能人の誰が妊娠してもどうぞどうぞ、という広い心が戻ってきて、街行くベビーカー、家族連れを暖かい目で見ることができました。
不妊の悩みが消えるとこんなにも暮らしやすいものかーーっ!と驚いたものです。何もかもが許せて、誰にでも優しくなれて久しぶりに怒りのない期間でした。
だから、今がんばっているみんなに言いたい。
妊娠報告を喜べない・・・祝福できない自分が嫌、自分は変わってしまったと落ち込んでいる人、大丈夫。幸せを喜ぶ心が消えたわけではなく、あなたの中にあります。結婚前を思い出してみてください、友人の妊娠を素直な気持ちで喜んでいたよね。今、不妊で悩んでいるから他の感情が大きくて、重なって隠れているだけです。
2017年、益々ご自愛ください。
(お知らせ)妊活モヤモヤワークショップを開催します!
年末年始のいろんなことでモヤモヤしている人、集合です。
facebookページで妊活情報配信してます。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)