家族会議について書いてみます。
我が家は「子宮摘出をする、しない」について決断しなければいけない議案が浮上したため、久々に家族会議を強いられました。
妊活中の人たちは治療をする?続ける?やめる?どの治療をする?・・・・あらゆる場面で選択を迫られ家族会議をしなければいけません。楽しくないことを話すのって難しい。時間をもった割には、気持ちを伝えきれずモヤモヤする、喧嘩になる、もしくはふて寝する、どこかにプイっと行ってしまう、テレビを見て話がフェイドアウトになる、などなど失敗例はたくさんあります。私たち夫婦も過去これ全部ありました。
そんな失敗さんはこれだけ注意してみてください。
家族会議で大事なのは、答えを出すことを目的としない!
もちろんどっちかに決める話し合いはあるんだろうけど、先を急がないでください。
そこまでのプロセスがすごく大事です。
会社みたいに利益追求で正解か否かを決めるのとは違います、ここは家庭です、そして二人暮らしなら唯一の相棒。
こんなことはありませんか。
妻「治療つらくて」
夫「つらいならやめればいいよ」
ダメです、この対応は違うんです。妻の意見に同意したのに違う?どういうこと??
やめるかやめないのか決断を下して欲しいわけではないありません。
理由聴いてください!!
これもあります。
妻「体外受精を医師にすすめられたんだけど」
夫「医者がそういうならその方法がいいんじゃない?」
これでは相談相手にも何もなっていない、会話放棄に聞こえてしまいます。
夫「君がそうしたいなら、それがいいんじゃない?」
というのも、一見優しいと思いがちですが、一緒に考えることを放棄している逃げの発言。
じゃあどうすればいいの?
妻がどうしてそんな話をしているのか考えて。
第一声「治療がつらくて」・・・はサイン。
即答する夫に限って、どんなことがつらいのか理由見えてない知らない聴いてないケースがあります。
妊活中の私たちは「不妊治療つらい」は知っています。楽しいはずがありません。
きっと不妊治療の3大負担「経済的負担、精神的負担、身体的負担」を思い浮かべるでしょう。
その言葉だけでわかったつもりになってしまう落とし穴があります。
例えば精神的負担ってどんなことがありますか。
ある人は、急な休みで職場の同僚に迷惑をかけることを言うかもしれません。ある人は、毎月期待してるのに、妊娠不成立だと、「ダメ」と烙印されている気持ちになる。ある人は、自然妊娠する友達がたくさんいる中で、自分は治療までして努力しているのに叶わないことがつらいかもしれません。
100人いたら100通りの精神的負担があります。同様に経済的も身体的もです。
どんなことがつらいのか妻に聴いてみてください。妻はあなたに話すことで考えが整理され、「聴いてくれた」=「夫は私の気持ちを知ろうとしている」という努力を感じます。
妻もちゃんと伝えないといけません。夫も妻も家族会議では伝え合う努力をしてくださいね。
妻が話したら、今度は夫が伝える番です。気の利いた励ましを言う必要はありません。「がんばろー」とか、「きっと大丈夫だよ」「信じよう」とかどっかの教科書に書いてある言葉じゃなく、
妻の気持ちを「知ってどう感じたか」です。「今後どうするか」という解決方法ではなく、あなたが妻の言葉を聴いてどう感じたかですよ。
もしもそんな風に妻が考えていることを知らなかったら、「そんなことを考えていたなんて気づかなかった」と言えばいいんです。で、「これからはもっと聴くからひとりで抱えないで」って思ってるなら伝えてください。これ、マニュアルないので、思ってないのに言ってもダメですよ。続かないのですぐバレます。
妻のつらさを共有してどんな風に思ったかを伝えるので、あなたの言葉じゃないとダメです。
人は整理して話すのが難しいんです。特に仕事じゃなくて自分のこととなるとね。話がまとまらなくても、
「で、どうしたいの?」「それで?」とか言ったら絶対ダメです。話しやすいようにしてあげてください。
どうしたいのか一緒に考えるんです。半分はあなたのことです。もっと言えば、ファミリーツリーのことで、先祖代々つらなってきていることで、多くの人が関わっているんです。だからせめて「夫」なら一緒に考えてあげてください。
プロセスを大事にせずに結論だけ決めるような家族会議では「私の気持ちはどこへいったの?」「あなたはどう思っているの?」ということになり、どんな選択をしてもモヤモヤが残ります。
自分の気持ちを知ってる人がいて、それが一番身近な夫で、わかってくれようとしてくれるなら、家族会議の結論がAでもBでも、気持ちは穏やかなはずです。
唯一の相棒のあなたにかかっています。重要ですよ「夫」。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)