クリスマス撲滅運動とか、バレンタイン撲滅運動が最近はありますけれど、私は「良かれと思って」撲滅運動をしたいです!
今回、子宮腺筋症が悪化し子宮全摘という決断を下したわけですが、様々な反応がありました。
良かったもの、困ったもの、その理由をまとめました。
≪良かったケース≫
「そんなことになってたなんて、それは大変だったねぇ」
「痛いのはつらいよね」
義母や親戚、友達、多くの人がこのタイプでした。40代になり、わたしの周囲の人たちも何かしら苦労した経験があるのでしょう。余計なことは言わない。過去でもなく、今の状況をただシンプルに心配してくれるのが良かった。
「よく決断されましたね」
年配女性グループの言葉です。その言葉の奥には不妊治療をしてた私のことへの配慮が感じられました。葛藤の後の決断を尊重してくれるのは嬉しいです。
≪困るケース≫
「今まで検査してたの?」
「身体を大事にしないとダメでしょ」
一見心配している言葉に見えますが、ちゃんとしてないからこんな結果になったんじゃない?と責められているように感じる言葉。検査してたし、健康に気を使って生きてきました。病気になったり不妊もそうだけど、どうして自分がこうなったんだろうと考えてただでさえ自分を責める傾向があります。追い打ちをかけても悲しい気持ちにさせるだけですね。
「もっと早く○○していれば」
これは「○○しないとダメでしょ」に似てますが、結果論なら何でも言えます。不妊治療をしてる人に「もっと早く結婚していれば」「もっと早く病院で不妊検査していれば」も同じです。不可逆的なことをいくら言われても今更どうしようもできませんし、それを後悔しているのは誰よりもその本人なのです。タラレバは後悔を強くさせるだけです。
「諦めないで!」
超ポジティブ思考の人は注意です。例えば、不妊治療をやめる、子供を持たない、養子を迎える・・・夫婦で決めたことに「若いんだからまだチャンスあるよ諦めないで!」「あそこの有名な病院に行けばきっと妊娠するよ」と話をふりだしに戻すような超ポジティブなキラキラした希望の塊は困ります。これらは勇気付けているようで、無責任、惑わす言葉。決断したことに迷いを与えるだけです。何度も諦めず頑張ってきて失望して今ここなんです。
健康食品を勧めてくる
どんなに健康に務めていていても、どんなに高額の医療ケアを受けても、死ぬ時は死にます・・・だけど健康食品を勧めてくる人は、その健康食品を食べてないからその人たちは病気になったと信じて止みません。「どうして試さないの??なんで?治るかもしれないんだよ」・・・そこには押し付けという感覚はなく、勧めてくる人は「愛」だと思っているし、少なからず「愛」があるとは思うんだけれど、度を超えると愛は押し付けになってしまいます。「これを飲めば妊娠」「これを飲んでガンが消えた」というフレーズの健康食品にもともと興味がありません。なによりも藁をも掴む気持ちに漬け込んでいる宣伝が嫌い。信じている人を否定はしません、あなたが病気になったときに試せば良いと思います。
まとめ
良かれと思って発言、無意識に言っていることありましたか?
父のガンが発覚した時、私は27歳でした。考えが浅はかで寄り添うという勉強も足りなかった。何かできないかと役に立つことを探し、キノコエキスを飲めとか名医がいる病院に転院しようとか、かなり勝手に家族の意見を押し付けていました。すべては良かれと思ってのことです。大反省です。当の病気の本人の気持ちそっちのけでした。天国に謝っています。
良かったケースの共通点は決断を尊重してくれる言葉です。無言で頷き、肩をポンポンとしてくれたり、言葉じゃなく態度で優しさが伝わることもありました。
困ったケースは、自分が良いと思っていることは相手も同じように良いと思うと信じて暴走する人です。それは価値観の押し付けと気づいて欲しいです。相談なのか、報告なのかも重要ですね。
撲滅の参考になればいいなと思います。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)