不妊カウンセリングで訪れるクライエントさんがよく言う言葉です。
夫婦だけだと退屈で…
夫婦だけだとつまんない…
予測可能すぎる相手の行動。あうんの呼吸。
好きだけど…いつもと同じ風景。
好きだけど…昨日と変わらぬ今日。
みんな、パートナーのことを「好きだけど」って付け加えるところが共通で、面白いですね。
そう、恋愛の駆け引きもなく平和なんですが、何かが足りない(気がする)。
大人が二人、もう自立してますから世話なんてしなくてもやっていけます。
自分でやればできる夫の世話をするのと、何もできない100%頼ってくる赤ちゃんの世話は全く意味合いが違ってきます。
私たちはなぜそんなに子供が欲しいのかと考えると、
この前の記事で納得しました。
動かなくなる・・・!!!そんなっ!
同書には「毎日いろいろなことに興味を持って動き回り、仕事でも余暇でもわくわく、ドキドキするような、新しい経験を求めてみてください」と書かれています。
新しい経験・・・、新しい環境・・・、そう、脳が求めているんです。脳の大好物は新しいこと!
アラサー、アラフォーにとってまさにそれは子の育児ですね。
子を育てることは未経験の分野にトライすることだし、赤ちゃんは予測不能。泣いているとご飯かな、オムツ、暑い?寒い?具合悪い?熱!?何かの感染症?!!!あらゆることを考えて対応しなければいけない。一番複雑な仕事って育児ですね。
仲良し4人組の3人が妊娠出産し、育児を始めました。育児の話ばかりしますよね。30代前半だとそんな場面ばかりです。新しいことを始めた友達の脳の中は「育児」で制覇されてるんですね。だから子供のいない人と二人きりでもほぼ一方的な育児のあれやこれやという話が止まらないのも納得です。脳のせい・・・
好きな人と一緒にいるのに、退屈、つまんないと感じるのも脳のせいです。決して愛情が薄れたわけではありません。我が家では「私たち、何時間こうして二人で会話してるんだろうね、何泊一緒に寝てるんだろうね」と話しています。二人きりの会話、そんなに毎日ニュースがあるわけでもないのに16年もよく続けているなと我ながら関心します。
平和は好きですが、さっきの調査によると新しいことがない同じ日々は「脳が慣れて動かなくなる」らしいので、これは阻止しなければいけませんよね。
不妊治療をいくらしても子供が授からない日々、授かっても流産。旅行やレストランに行っても変わらぬ二人の生活、1日が始まる朝が一番つらかった時があります。33歳ころ。周囲からのプレッシャーもピークに達ってました。で、もう人生終わればいいのにと思ってました。それから、どうして今生きてるかというと、そういえば、インコを飼ったんです。犬、猫は昔飼っていましたが鳥類は初めて。もう、何もかも生体が不思議で本やネットで調べ、インコサークルにも入り先輩にたくさん質問をしました。哺乳類と違って飛ぶことも新鮮。私が採卵してもいくつも採れないのにインコは立派な卵をバンバン産み、妊娠適齢期を感じさせられたこともありました。家の中にいる小さなライバル。
そうこうしているうちに、あれ、日々あっという間にすぎている。インコの飼育に没頭しているうちに、今死ねないと思いました。だって、私だけが餌の面で頼り。それに成長をもっと見たい。
夫婦ふたりなら、ペットを飼いなよという話じゃないんですけれど、私が退屈と感じる生活の中に求めていたのは、仕事のスキルアップとかじゃなく、愛情を向ける対象で、さらに世話に手がかかるものでした。(猫などの世話があまりないものはダメ)
あなたが何を求めているか、あなたがどうして赤ちゃんが欲しいのかがわかれば、子供を授かる以外で退屈を阻止する方法が見えるかもしれません。
その後私たち夫婦は新しいことをどんどんチャレンジしています。些細なことです。
インコの飼育について書きましたが、人間の子育てに代わるものはありません。ペットは最終的に自立しないので親としての責任が違います。「人間の育児の代わり」を探すと見つからないと思います。そこは割り切って、代わりにならないけれど自分の脳がワクワクする欲求を満たしてくれるジャンルはこれだ、という視点で探してみるといいかもしれません。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)