不妊当事者として時々大学のゲストスピーカーをしています。現在不妊、特別養子縁組の悩みをお持ちの方のためのサポートは私の活動の主な軸ですが、次世代への体験談もやりがいのある仕事の一つです。それはやがて彼らが30代になった時に必ず不妊に悩む友人はいて、彼らも当事者になるかもしれないからです。その時に周囲から区別されることなく生きてほしいし、区別する側にもなってほしくないな、幸せの道はたくさんあるんだよと言うことを知れば、きっと世の中は変わると信じているからです。
このような若者への講義は7年前から続いていて、今回は春に1回、秋に2回ありました。
今回は春に1回、秋に2回ありました。その1回は、行政書士であり、元新宿区議会議員、政治家であるよだかれんさんと一緒でした!再びお会いできるとは嬉しい。
授業の目的は、生き方、生き様の探究。
テーマ:「わたしたちの一人ひとりの小さき声を大切に:わたしのライフストーリー」
私がどんな人生を歩んできたか、そしてそれが職業にどう影響してるか・・・などを話しました。
今までの不妊や妊娠の知識を話す講義とはちょっと違って、資料作りながら振り返ってみて、やっぱり、子どもの頃から「普通」の人生が構築されてきたんだな、と再確認。
不妊になってからその築き上げた「普通」に自分がはまれなくて苦しめられたわけですが、周囲からか、環境か、いずれにしても自分の中の「普通」を知ることは大事だよね。そうすると他人にそれを押し付けないから。
そして学生の頃に(社会に出る前に)マイノリティの人生を聴くチャンスがあって羨ましいと思いました。多様性、私は全然知らなかった。そんな言葉も、そんな生き方も、普通以外は考えもしなかったし、大勢が結婚し母になり仕事をやめ主婦になり家を持ち・・・普通以外が発信することなんてできなかったから知らなかっただけなんだろうけど。
大学の授業で聴いた他人の人生が、いつかポッと思い出してくれるなら嬉しいな。ずっとずっと後かもしれないけれど。
よだかれんさんとの出会いは、「子どもがいなくても価値がある!WINKシンポジウム2022」の登壇でご一緒したことがきっかけ。その後、乳児院の見学をお誘いすると同行してくださいましてギュッと距離が縮まりました。お忙しいのに本当に来てくれるんだ!と正直なところ驚き半分。社会的養護のことは以前よりも関心があったということで、真摯に向き合ってくれて嬉しいです。
かれんさんと並ぶと、自分の姿勢の悪さがわかる・・・今までの職業を聞いて、ダンサーの経験があったそうで、納得!だからピシっと背筋が伸びて立ち姿がカッコよくて、綺麗で、華やかで、おしゃべりは当然上手で、すごいな〜〜って見上げました。
LGBTQを公表した上で「小さき声をすくいあげる会」代表、最近では参議院議員選挙や新宿区長に立候補したり、多岐に渡り表舞台で声をあげてくれています。心強い!
小さき声を・・・と言うのは、不妊も同じだな、活動動機に共鳴するところあるな〜と思いました。表舞台は大変だと思うんですがたくさんの人の心がそのおかげで救われていると思います。またお会いしたいです。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)