先ほど放送されたクローズアップ現代、今日のテーマは「少年犯罪・加害者の心に何が〜愛着不形成」でした。
見てない方ぜひ愛着障害を知っていただきたいと思い、ざざっと文字起こししました。。
(クローズアップ現代)
2013年、広島での残虐事件ー共同生活をしていた7人の男女が仲間の16歳少女を殺害。リーダーは16歳の少女。判決は求刑から2年減刑されて懲役13年。
なぜ減刑されたのか・・・
ー幼少期に親から虐待などを受けたことで自分の感情や行動をうまくコントロールできなくなる「愛着障害」。脳にどのようにダメージを与えるのか、最新の科学で明らかになりつつあるー
不可解な少年犯罪の背景で子供たちの心に何が起きているのか。。。という始まりでした。
愛着形成とは
・親と子の間で結ばれる深い信頼関係
・子供にとって初めての人との関わり
・自分を無条件に守ってくれる、自分が大事な存在であることを認識できる大切な関係。
自分のことを大事に思うことができなかったり、他の人を思いやったりする想像力が育まれないことで、自分の感情や行動がコントロールできなくなる精神疾患。
少年院にいる少年18.6%、少女39.7%が幼少期に虐待の経験があり、その中には愛着障害の子供たちがいる。
先の広島の事件のリーダー16歳少女は、4歳から激しい虐待を母親から受け、ほとんど会話することなく家での苦痛な生活を送っていた。
裁判所は不遇な環境により、怒りをコントロールできなかったと愛着障害を認めた。
逮捕後、少女が母親へ書いた手紙ー「16年間一緒におって、楽しいって心の底から幸せだ!って思った日、私の記憶の中にないんよ。ずっと気を使って言うこと聞いて、そんな記憶しかない。」
◯福島大学こどもメンタルヘルス支援事業 特任教授から
間違いなく虐待が非行や犯罪に関わる影響というのを見ていく視点は主流になりつつある、大事にされつつある
◯更生施設の現場の声
・職員にベタベタ
・ささいなことに爆発
◯少年院医師の声
「この行動は愛着障害なのか、先天性の発達障害なのか区別が難しい」
脳科学の視点からの究明が進められている。(虐待された児童とそれ以外の児童の脳の機能に違いがないか調査)
・前頭皮質(行動を抑止する信号をおくる)の体積が減少。感情や理性をつかさどる場所。
・線条体が小さくしか反応しない。良い行いをしたときに褒めても響かない
悪い行いをしたときフリーズ(行動を変えれない)、ささいなことで逆切れ、パニック。
児童精神科医 高岡健さんから
「常に裏切られた経験を積み重ねている結果、自分をわかってくれる大人なんているわけがないという気持ちに陥る。また一方で非常に危険な目に合っているので警戒信号を常にピリピリと発信、非常に小さい刺激であっても過剰に反応してしまうということが起こっている。」
「ひょっとしたら自分をわかってくれる大人がいつかもしれないという気持ちから、わざと試すこともある」
ー愛着を形成するのはどれだけの時間が必要?
「時間は関係ありません、むしろ親が子供に応答しているかどうかが大事。無視しているといくら長い時間付き合っていても意味がないものになります」
ー愛着形成の期間は何歳まで?
「目安ですが、3歳くらいまで」
ー脳科学の結果について
「日進月歩の分野なのでなんとも言えない。過剰な信頼はさけるべきだけれど、環境的な要因が脳にも影響与えるという警鐘の意味はある。強調しすぎると、虐待>脳>犯罪という誤った固定した考えを与えるのでそれは避けるべき」
広島の事件。少女が拒絶しても手紙を書く母、虐待をしてきたことを娘に謝り続けている。
「本当にごめんなさい、ママの考え方がおかしかった。今回のことがあり、あなたがどんな思いなのかわかりました」
ー親と子へのサポートはどのように
親と子、両方へのサポートが必要
親:孤立にさせない、様々なつながりを親の周りにおく
子供:興味のあることから自信をもたせ、初めて人間関係を修復していく。何度も周囲が立派な行為を褒めて本人にも自覚させてあげる。それによって自分を大切にする。
ーサポートするとき大人が気をつけること
一方的に支持しない、一緒に行動する(共同行動)
ー愛着が再生されてきたと感じるときはどんなとき?
自分のことを語りだすとき、恥ずかしそうに語りだすとき。
クローズアップ現代は以上です。
内容はわかりやすくとても良かったです。乳児院の赤ちゃんの愛着は誰が形成するのだろう。これを機会に施設での集団養育を見直す動きにつながればいいな。
判決を受けた広島の少女へのひどい虐待の末、愛着が形成されていないのは少女のせいではない。これから長い時間をかけて母親が努力し、愛着を取り戻し親子円満にハッピーエンド・・・、ではないと私は思う。その犠牲になり首を折られ、数えられないほどの火傷の跡、残虐に殺された少女がいることを忘れてはいけない。
愛着障害関連の本2冊紹介します。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)