==不妊とは、人生の計画がストップしてしまうほどご夫婦にとって大きな問題==
「考えすぎじゃない?子供以外の何かを見つければ?」
私は、そんな風に考えることなんてできませんでした。だって、今、赤ちゃんが欲しいから。妊娠を望んでいるカップルの中には、日々の生活習慣を見直し、タバコお酒を断ち、友人との予定を後回しにし、旅行よりもまだ見ぬ我が子のために努力されている人もいます。しかし、子供のいないつらさは周囲にはなかなか理解されることなく、「子供まだ」という言葉は挨拶のようにどんな場面でも投げかけられ「早く子供作りなさいよ、子供はいいよ」と続きます。
毎月何本にも及ぶ注射、ひどい吐き気の副作用・・・
頑張れるのは子供は子供を授かるためです。
しかしいまだ生殖は神の領域。悲しいけれど努力とは無関係に不妊治療の結果はでます。妊娠率は30代前半の体外受精でも30%と低く、医療の手が加わっても子供を望む願いを叶えることは簡単なものではありません。
治療が長引いたり、友人が子育て生活にシフトしていく中、ひとりだけ置いてけぼりになっているように感じたり、自分でも理解できない心の動揺が、徐々に周囲との関係を変化させていきます。
私は、不妊であることを誰にも打ち明けられずインターネットの中だけで生きていました。でも今は周囲に仲間がいます。悩みを語れる友を見つけるまでは時間がかかりましたが、最初の一歩は不妊体験談を聞いたこと。
不妊の気持ちは「子供がいない=悲しい、寂しい」という単純なものではなくいろんな問題と絡み合っているために、なかなか子供のいる人がその立場を想像するのは難しいものです。不妊を経験した者だから、分かち合える事や共感できることがあります。
もしカウンセラー自身が不妊を体験している当事者であることで、あなたにとって少しでも相談しやすい環境になるならば、お力になりたいと考えています。
→不妊カウンセリング
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)