ブログ村不妊カテゴリーには続々と妊活ブログが登場し、そして妊娠し、卒業していきますが、私はいつまでも卒業できず10年。。。治療をバリバリしてた頃はとうに過ぎていますが、ブログパート1、パート2の両方とも上位に居座らせていただいて恐縮です。
さて、大晦日、今年最後のブログとしてどんなメッセージを書こうかなと思っていたら、有吉の名言15選というのが回ってきました。
「敵を味方にする余裕は無い、味方をより味方にする努力しかもうしない」
素晴らしい名言ですね〜(笑)有吉スキ。
先日のジネコ妊活セミナーにて講演をしました。そのときに、不妊の気持ちを理解してもらうことは大変難しく、夫婦であっても一歩家を出ると男の世界、女の世界で生活圏が違う。夫婦の温度差・・・と表現されるようにお互いの気持ちには「違い」が生じるとお話ししました。その内容をちょっとここで。。
年末年始の行事で久々に親戚と顔を合わせたり、田舎に集まり子育ての話題になったり、周囲との関係に気が重いという人もいるかと思います。40歳も過ぎると吹っ切れる部分はありますが、30代前半だと赤ちゃんラッシュ真っ只中・・・どこに行っても「赤ちゃんはまだ?」の問いが矢のように飛んできたことを思い出します。
そんな時、一回一回ブルーになっちゃうけれど、ちょっと考えてみましょう。
私がどうしてそれらの言葉にストレスを感じていたかというと、理由のひとつに、
不妊治療で頑張っているのに、そんな苦労や努力を知らずに「赤ちゃんまだなの?子供はいいわよ」と気軽に言われるから
です。すでに努力してるのに・・・
治療に専念するために退職したとき、主婦という外見だけを見て「子供いないのに毎日何やってんの?暇でしょ」と言われました。これは同じ不妊治療をしていても男性は言われ無いでしょう。しかし恐ろしいくらい女性は言われるわけです。他人の家庭に迷惑かけていないのに、主婦がこんなに責められていることを初めて知りました。
じゃあ、「子供はまだ?」という人や、「暇でしょ」という彼らに「私は子供を授かるため努力しています、不妊治療がんばっています!」とカミングアウトしますか?
「子育ては人間を成長させる」
「子育てしてこそ一人前」
「子育ては楽しいよ、早くあなたも」
と言っていた人に”不妊治療”という言葉を出した途端に、
「子供だけが幸せじゃないよ」
「そこまでして子供欲しい?」
「え!体外受精ってあの試験管ベビーの?」
ショックでした。
世間の意見なんてくるくると都合よく変わるのです。
結果、不妊という状況を理解してもらうのは・・・・・難しいのです。
そもそも赤ちゃんを望んでも叶わないとこんな感情になるなんて、、、自分でもうまく説明できる自信がない。親戚の集まりのガヤガヤしているところで「わたしVS親戚一同」で戦っても勝てる予感がしません。
有吉の名言に戻ります。
「敵を味方にする余裕は無い、味方をより味方にする努力しかもうしない」
パワーは有限です。
世界中から不謹慎な言葉を撲滅したい、そんな思いはいつしか消えてました・・・
そして、私なりに考えました、「不妊カミングアウトの心得」です。
「”あえて”あなたには言わない、教えない」という選択もあるのです。「考えた結果、あなたはカミングアウトする人から漏れました」と心の中でつぶやいて。あなたが決めていいんです。
「カミングアウトの心得」を親戚の集まりや気が重い行事の時にちょっと思い出してみてください。
いま、あなたの周囲には「子供はまだなの?」という声を出す人が目立っていますが、そっと見守ってくれている、何も言わない問わない人がその陰に隠れているはずです。それは不妊治療の経験は関係ありません。他人の背景を想像し、身に付けるものや子供の有無であなたの価値を判断しない人です。
私は、赤ちゃんラッシュの最中には気づきませんでした。でも、そういえば近い人なのに子供のいない私に何も問わない友人や先輩、同僚がいたのです。
きっといます、今いなくても、あなたを応援してくれる人が現れます。
あなた自身を見てくれる人です。
あなたにとって大切な人との絆を深くしていくことこそが、残りの人生を豊かに過ごすキー。
あと2時間で新しい年です。実りある素晴らしい1年になりますように。ヒビキ2015
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)