亡くなった赤ちゃんのことは早く忘れた方が良い
と、人は言いますね。
どうしてそんなことを言うのかというと、
先に進んで欲しい、普通の生活に早く戻って元気になって欲しい、、という気持ちからかもしれません。
では実際に、早く忘れた方が早く回復するのでしょうか。
我が子を失って、早く忘れることは可能なのか。いや忘れること自体が可能なのかな。
我が子の死を忘れて次に進むことが、よりよい人生なのかな。
次ってなんでしょう。次の部屋に進むみたいにこの悲しみの部屋の扉を閉めて、次の新しい部屋に進むことなんてできるのかな。
人の死の中で流死産は「公認されないグリーフ」と言い、悲しみが理解されないことがあります。
生まれてないものが生まれなかっただけ、と思う人がいるんです。
でも違いますよね。お腹の中で育っている胎児との人生はすでにスタートしていて、先の先のことまで将来を想像しています。周囲からは目に見えなくても、赤ちゃんとの生活。それが消える、大きな喪失になります。ここに流産、死産の違いはありません。
流死産の直後は、悲しみの中で混乱しています。その時に「早く忘れた方がいい」と言われると、早く忘れないといけないのに、思い出してしまう、悲しんでまた泣いてしまった・・・ダメな私。と忘れられない自分、悲しむ自分を責めてしまいます。周囲がかけた言葉で元気になるどころか、もっと落ち込んでしまう。。
経験者のアンケートで、生まれた子の話、流産した子の話を一切触れられなくて寂しかったと多くの母親が答えています。早く忘れて元気になって欲しいからとった周囲の行動は、寂しさを与え、孤独にさせてしまうのです。私の父が亡くなった時、葬儀を終え出社すると、同僚たちが「大変だったね」となにげなく声をかけてくれました。それでいいんです。それだけで。気の利いた言葉じゃなくていいんです。
先日、元職場の人に会う機会がありました、私が伝えてなくてもSNSなどで過去の流死産を知ることがあります。「大変なことがあったんだね、何と言っていいか・・・」と一言ですが言ってくれて、その時から5年経っていてもやっぱりその声がけは嬉しかった。その出来事を詳しく話すことはありません。ただ、優しさを感じます。
周囲の優しい声かけが積み重なって、一歩一歩進めるようになるのではないかな。
悲しみが消える方法はないと思います。でも私は、悲しみを同じ経験をした人同士で話して分かち合う、悲しい気持ちを認めて向き合う行動が、のちの回復につながりました。
赤ちゃんの話をしたいな、そんな人はヒナの会に参加しませんか。
コウノトリこころの相談室コウノトリの会お知らせ
「流死産ヒナの会」
2016/12/7(水)14:00-16:00(受付13:45)
参加費3,000円(リピーター2,000円)
定員5名
場所:東京ウイメンズプラザ
東京都渋谷区神宮前5-53-67 / TEL 03-5467-1711 / 最寄り駅表参道徒歩6分
対象:流産、死産、新生児死亡で赤ちゃんを亡くされた女性、またはご夫婦
不妊治療の有無は問いません。赤ちゃんを亡くされてから数年経過しても参加可能です。月齢の違い(初期流産〜中期流産〜臨月など)は気にされることかもしれませんが赤ちゃんを亡くした共通の悲しみを語りますのでどうぞ、参加を検討してみてください。
お申し込みはこちら
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)