つづき
あ、眠れたんだ。。あんな激痛はどこへやら。痛みは10のうち1になっていた。
朝7時くらいに採血で起こされる。4本も・・・。点滴はまだいろいろと続いていた。
どうしてこんなことに。ああ、バイトも休まなくてはいけないし、今日はお友達とリフレッシュランチをするはずだったのに。心底自分の体にがっかり。
ご飯が運ばれてきた。「あ、ご飯だ。。。」ご飯がでてきてちょっとうれしかった。自宅にいたら確実に朝ご飯は無かっただろう。
夫は帰れたのだろうか。昨晩、ちょっと気分よく酔っぱらって帰ってきたらいきなり救急病院に行くことになったのだ。彼は彼で疲れている。
そして、今日は手ぶらで入院している私のために携帯電話やら、医師が気にしていた過去の人間ドック、検診、腹腔鏡のデータを持ってくることになっている。会社は午前中休んむらしい。
昨日の男性医師からの診察があり、感染症は無かったと告げられた。そして、「別人だね!!!」と背中を叩かれた。「よ!別人〜!」くらいのノリで。
う、うん、今が別人ではなく昨晩の私が別人なんだけどね。笑。
夫と一緒に医師の説明を受ける。
さっきの採血の結果データを見て医師は首をかしげていたが、私が「不育症の血液検査で3つ異常値があり、(プロテインS、血液凝固因子12、抗pe lgG抗体)ヘパリン注射を一日2回していた」と告げると、考えが合致したようで「だからか〜〜」とうなずいていた。
結局は子宮腺筋症は4年前からじょじょに悪化し、病状はMRIをしなくては正確なところは不明だけれど中度〜重度レベル。首をかしげていたのは血栓ができやすい数値が異常に高かったけれど、血液凝固の異常があると今聞いて納得したようだ。鉄分は治療が必要なレベルで、不妊クリニックで相談してくださいとのことだった。
他の人が痛い程度のものでも、血栓ができやすい体質の私にとっては激痛と感じることがあるらしい。これは以前も子宮収縮剤の時に調べてわかっていた。でもみんなあまりたいした差ではないと気にしてくれないので医師から言ってもらえてすごくうれしかった。痛みって人それぞれだから・・・月経痛でそんなに痛いの?みんな経験してるでしょ仕事だって平気でしてるでしょ、って言われるとホントつらい。
医師は「あなたは血液の異常がこれだけあるのだから、常にそのデータを持ち歩き、新しく病院を受診するときには必ず提示できるようにしていないとダメですよ、使ってはいけない禁忌の薬があなたにはあるからね」ときつく注意された。命を守るため、ということだと思う。
私は自分では抗リン脂質抗体症候群があるっていろんな場で薬を処方してもらう時なども言っている。だからピルも使えないし、止血剤も使えないのだけれども、あまり重要視されていないように感じていた。年とともに血液は流れが悪くなるくらいに思っている医師もいる。ここまで真剣に言ってくれた医師ははじめてだった。死産した日赤ですら「今度妊娠したら不育症を理解している病院に行ってください」と丸投げだったから。今度・・・って?って思ったし。
つづく
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)