卵子の老化が衝撃的なワードとして頻繁にニュースで流れ始めた頃、クローズアップ現代で「産みたいのに産めない〜卵子老化の衝撃」(2012年)放送されました。すでに見た人は多いと思います。
NHKのHPでまとめられていて、動画もあり、とっっっっってもわかりやすいです。
30代後半、40代の方にはつらい現実をつきつけられる内容かもしれませんが、金銭的にも、精神的にも長期的に治療を続けるのは苦しいことだと私自身が感じており、どこで終わりにすればいいのか、踏ん切りはどこでつくのか、彷徨っている最中です。
どんなに努力をしても打ち破れてしまうという経験を重ねることで、自分そのものの価値がわからなくなっていく状況に陥ってしまいます。この番組は、20、30代の妊娠、出産の比較にもなりますので、ご自身のこれからの不妊治療の参考になると思い、改めて紹介します。
・不妊治療の出生率(日本産婦人科学会 2009年)
35歳 16.8%
40歳 8.1%
これは妊娠率ではありません、出生率です。35歳でも低いですよね。病院に行けば?と簡単には言えないことがよくわかります。治療しても授からない人がたくさん存在します。
・不妊症の割合
20代の前半 6%
40代 64%
浅田レディースクリニック 浅田義正院長
「努力で乗り越えられない そういう壁があるんですね。
不妊治療でというとやっぱり年齢の壁というのが非常に大きいので同じ人が例えば5年前、10年前だったらなんの苦労もせずに妊娠してたんだろうなということは感じますよね。」
重みのある、患者さんを思う気持ちが表れている言葉ですよね。
先生の病院では初診平均年齢は36歳、すでにその時点で生殖適齢期は過ぎていますよね。不妊の原因がなくても年齢を重ねると生殖機能が衰える、卵子も老化していくということです。
セントマザー産婦人科医院 田中温院長
「(老化した卵子を)何とか元どおりにしてあげたい 若くしてあげたいと
それで(研究の結果を)みんなで検証していかないとと思います」
田中院長先生は、若い提供者の卵子に患者の核を移植する卵子の蘇りを研究されていて、当時これは2012年の番組なのであれから3年、この研究はどうなったのかなぁ・・・。代理出産や卵子提供よりも確実に患者目線を大事にしている研究ですよね。遺伝子は夫婦のものだし、第三者が出産したり遺伝上かかわらないので、子供の出自の問題もありませんし、医療の一部としてできそうなのですが。
ゲストの杉浦真弓さん(名古屋市立大学大学院教授)は、
「魔法の治療はありません、子供は授かりもの。努力してもコントロールできないことがある。そして、自分を責めないでほしい、責めるようなことではないと考えてほしい」という言葉でしめくくり。
本当にその通りだと思います。妊娠する、しない、子供がいる、いないは自分の価値を決めるものではないです。
でも、一言言わせていただくならば、私は、自分を責めてなんていませんでした。はじめは。
子供が欲しい〜っ♪て単純に思っていただけです。
しかし、「子供を産んで一人前、子育てしてない人にはわからない、子供がいてなんぼよ、子供はまだなの?どっちが悪いの?」と何度も何度も会う人会う人に言われ続けて、コントロールできないことで責められ続け、そして妊娠できない自分はダメなんだと思うようになってしまった。
患者自信に「自分を責めなくていいんだよ」と伝えると同時に、子供がいない人を責めている周囲の人間にこのことを発信してほしい。
周囲があたたかく受け入れる環境を作れば、私たちは治療の成功、失敗にとらわれることなく生きていけると思います。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)