世界中の人がホッコリする赤ちゃん画像
動物の赤ちゃんって本当に愛らしくてかわいいですよね。癒される〜〜〜。ゴールデンレトリバーの赤ちゃんが散歩してたら、間違いなく「かわいい〜〜〜」と思います。
以前、野生動物の”生命誕生の奇跡”ドキュメンタリー番組で、たくさんの動物の赤ちゃんが登場。すごくかわいい。トラの赤ちゃんは猫みたいだし、ヨタヨタした足取りで、あどけない顔、丸くて大きな目、見ているだけでホッコリした気持ちになりました。その番組の最後、クライマックスのラストシーンに「人間の赤ちゃん」が映し出され番組は終了。テーマが”生命誕生の奇跡”だからそんな予感はしていたけれど・・・やっぱりきたか、油断してました。
今まで30分味わってた私のホッコリ感はどこへやら、胸がきゅーーと締め付けられて苦しくて、番組終了後もその自分の感情の変化を受け入れられず落ち込みました。
赤ちゃんは生きるためにかわいくできている
動物の赤ちゃんはなぜかわいい?動物行動学者によると
「赤ちゃん(動物も人間も)」には生まれながらにしてかわいがられる能力が備わっている。なぜなら、赤ちゃんは未成熟で生まれるため、誰かに養育してもらわないとすぐに死んでしまう。身長に対して頭が大きく、顔に対して目が大きい、ぎこちない動き、これらが周囲の大人の愛情行動を引き起こし、保護したい、守ってあげたいと思わせる。
すごいですね、赤ちゃんの能力。だから赤ちゃんを見るとほほ笑ましく思ったり、「かわいい〜」という感情が湧いてくるんですね。とにかく大人にかわいがられるように彼らは出来ているのです。
赤ちゃんを望む我々が心奪われるのも納得!
赤ちゃんを見ると辛い2つの理由
私が人間の赤ちゃんのラストシーンで胸が締め付けられるくらい苦しくなったのは、2つの理由があるとその後の分析でわかりました。
1つは、やっぱり赤ちゃんが「かわいい」から!
かわいい赤ちゃんが我が家にも来て欲しいな、来てほしくてがんばっているのに、なかなか来てくれない。今度こそ、もうちょっとで会えると思っていたのに、叶わなかった・・・など赤ちゃんがかわいいからこそ思ってしまう。
赤ちゃんを見ると辛い
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赤ちゃんを見ると”かわいいから”辛い
なのです。
もう1つは、
みんなと同じように思えないことが辛い。
人間の赤ちゃんの誕生は世界中の人にとって感動の出来事、ラストシーンにふさわしい。なのに、私は同じような感情で見れない、思えない。世界中の人と私の感覚がズレている、その間に大きな川が流れていることを認識させられ、辛かった。
赤ちゃんを見ると生まれつき悲しい、苦しい、辛いという人はいないでしょう。経験したことがそうさせているんです。この番組を見た当時、私は死産したばかりでした。スーパーでベビーカーに乗っている赤ちゃんとすれ違うだけで涙が流れていた。産後1週間、産婦人科に検診に行ったとき、ピンクの毛布に包まれた赤ちゃんを抱いて退院するお母さんと、それを迎えに来た夫、祖父母の幸せそうなシーンは、しばらく頭から離れなかった。赤ちゃんを見ると、それが蘇ってくる。私は幸せなシーンを見ても、祝福した気持ちになれない・・・とかなり落ちこみました。
あれから4年以上経ち、今は、赤ちゃんをテレビで見ても、スーパーですれ違っても、なんとも思いません。さすがに妊婦の出産シーンはトラウマというか、目を背けてしまうけれど。「赤ちゃん個体」そのものには「かわいい〜丸い〜〜プニプニしてる〜」と、かつて持っていた感情が私に戻ってきました。子供がいない状況は変わらないのに気持ちは穏やかに。
赤ちゃんを見るのが辛いという人へ
「親戚に赤ちゃんが生まれました、会うのが辛い・・・」という相談は多くいただきます。その方たちはすでに他人は他人、自分は自分ということは理解しています。でも辛い気持ちになることを悩んでいます。
私は、「無理に会わなくても、無理にかわいいと思わなくてもいい」と伝えています。
赤ちゃんのかわいい顔は、心をぎゅーーーっと縮ませる。かわいすぎて破壊力がすごい。一瞬でノックアウト。でもね、赤ちゃんは必ず成長します。大人を惹きつけるかわいい顔立ちから、子供らしい面白さに変わっていきます。
時期が来れば自分の状況も周囲の環境も変化します。不動のものはこの世にありません。
赤ちゃんの時期はとっても短い。自分の気持ちに納得して過ごすことで穏やかな時はきっと訪れる。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)