4月、立正大学心理学部臨床心理学科2年生に「キャリアとライフ〜命を考える」という授業の1コマの講師を担当いたしました。
生徒は19〜20歳のフレッシュな未来輝く若者たち160名、この大学で心理学を学び臨床心理士を目指しています。誰かの心に寄り添い、支えるために絶賛勉強中。目がキラキラ。
私は、不妊カウンセラーの役割として、現在不妊で悲しみやつらい状況にある人に寄り添うことだけではなく、次の世代に正しい知識の提供をしていくことも重要と考えています。当事者は、自分のことを語りたくないかもしれないけれど、当事者のつらさは当事者が伝えるしかありません。今回は心理学部小澤教授のおかげで実現しました。ありがとうございます!
授業では、女性の理想の人生を考えてもらい、卵子の老化、妊娠のリミット、妊活当事者の気持ちを話しました。授からず努力している人に対して、予期せぬ妊娠で悩んでいる人もいること、ボランティアしていた経験から乳児院の赤ちゃんの現状、施設退所後の若者のことも話しました。
生徒さんに聞きました!
NHKクローズアップ現代のアンケートでは何歳まで妊娠できると思いますか?という問いに「45歳」と回答したのが30%。これは、現実とかなりギャップがあります。誰にも産めるとも産めないとも言われてないけれど、産めるという思い込みがあるのです。大事なのに気にされてこなかった。実際は45歳は1%です。
卵子の老化・・・この話を現在40代の人たちに話すと「もっと早く言ってよ!」となるでしょう。20歳のこれから羽ばたく世代だからこそ「今」知ってほしい。「わたしの理想の人生は〜」と考え始める時ですよね(いいな〜)、「誰とでもいいから早く結婚して早く子供産みましょう!」と言いたいのではなく、知識として知ることで「こんなはずじゃなかった!」を減らせると思います。卵子の老化を止めることはできませんが、そのことを踏まえたプランを考えることができます。男女とも。
そして、一番大事なのは、子を産めなくても、産まなくても、独身でも、その人の価値は他人が決めるものではないということ。授業の中で山口智子さんを紹介しました。40代が勇気をもらったロングインタビューは話題になりましたね。
ツイッターで流れてきたこんなツイートも紹介しまいした。価値観の押し付け、ひとりひとりの思いやりがあれば、きっとみんなが社会を変えれると思います。
ここまで命を授かるための話をしてきましたが、最後に、命を失うこととして私の死産の体験をお話ししました。
危機的状況のとき専門家の助けも重要だけど、同時に友人たちにも支えられ、それが日常の私を救ったこと。寄り添うことに正解はないけれど、もしもそんな場面に出会った時には躊躇するかもしれないけれど、支えたい気持ちがあればきっとその想いは伝わる。
志高く勉強しているみんなに願いを込め講義終了。学生の感想文を1枚1枚読み、じーーーん。真剣に聞いてくれてありがとうございました!
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)