昨日のNHKスペシャル、「見えない貧困」は見ましたか?
子供の6人に1人が貧困家庭、母子家庭では2人に1人が貧困家庭・・・という日本の現状。だいたい、母子家庭=貧乏という図は、おかしいですよね。子育てのブランク後の再就職は日本では厳しく、非正規雇用をかけもちする状態。これは不妊治療でいったん仕事を辞めたケースも同じような問題を抱えています。仕事を退職しても子供が授からなければ、仕事も子育てもない状態になり、社会の中から外れた感覚に陥ることも。いろんな事情があっても働き続けられるようにしてほしいよね。育児も不妊治療も、介護も・・・。
話がそれましたが、
以前のNHKの子供の貧困番組では片山さつき氏が実名で出演した高校生に対して「貧困のレベルではない」と発言して炎上しました。こんな人が政治家で、大人で、高校生に申し訳ないです。(キッズドアの渡辺さんの記事ー片山さつき議員の「子どもの貧困」報道批判は、政治家の恥さらし)
なので、昨日の放送は、片山さんのような人にもわかりやすいように以前より丁寧に作られていたと評判良かったみたい。
貧困にはちゃんとボーダーがありまして、洋服がボロボロとか髪がボサボサとか、曖昧な見かけで判断するものではありません。可処分所得(いわゆる手取り)の中央値の半分以下の家庭が相対的貧困家庭です。片山さんOK?
世帯人数によって少しずつボーダーは違います。(キッズドア講演資料より)
まず、子供は、自分が貧乏だって知られたくないでしょ友達に。だから気をつけていないと子供の貧困は見えないんです。
次に、貧困は子供の心にどんな影響を与えるかという点。
日本の子供の自己肯定感はアメリカ、中国に比較するとすこぶる低いのは有名ですが、大規模調査によって、貧困家庭ではさらに低いということを番組で紹介。
(しながわチャイルドラインHPより)
「どうせ・・・」「がんばっても報われない」「自分には価値がない」という子供の声。
不妊を経験すると自己肯定感が低下して、なにもかも自信をなくして自分はダメだって思ってしまうことがあります。生殖機能のことなのに、女性・男性として人として劣っていると思ってしまう。大人でもその気持ちを修正していくのは難しいでしょう。子供だったらどうやって前向きに生きるのだろうか、支援者へ繋がる方法も知らないだろうし。本当にどうしたもんか・・・悲しい調査結果でした。
一方で、先日珍しい調査結果がありました。「養子」を対象にしたものです(日本財団)。同じ調査形式ではないのでダイレクトに比較できませんが、興味深い結果でした。
7割は自己肯定感高く 専門家、家庭で育つことの重要性指摘 (毎日新聞2017/1/4配信)
養子縁組の家庭で育った子どものほうが幸せ? 「自分に満足」「愛されている」と強く実感(HEALTH PRESS2017/1/27配信)
「自分自身に満足している」
・そう思う 26%
・どちらかといえばそう思う 45%
合計71%
「親から愛されていると思う」
・そう思う 64%
・どちらかといえばそう思う 29%
合計93%
こここれは、とっても高いです!
「内閣府の中3を対象にした2011年調査では、同じ質問に対する「そう思う」の割合はそれぞれ10%台と40%台」でした。
「血のつながり」があるから、おろそかになってしまうことってありますよね。養子縁組は絆を1から築いていきます。”どんなことがあってもあなたを守るよ”という覚悟と責任をもって親になり、養子の行動を注意して見守り、寄り添うから、結果的に愛情が伝わって、子供が価値を感じているのかなって思います。
多くの養子が幸せを感じていてホッとしたし、養親さんもこの調査結果は嬉しいのではないでしょうか。
子供って、素直。与えた分だけ吸収して育っていきます。暴力を与えれば悲しくなり、愛を与えれば愛を返してくれます。貧困家庭の子供には、親以外とのつながりをたくさん持って、可能性を広げてほしい。親に時間がなくて褒めてもらえなくても、周囲の人が補えることはあります。
今子供がいなくても、子どもの貧困問題を関係ないと思わないでほしい。子供が欲しいと思い悩んでいる人は子供のことをいつも考えています。子供の過ごしやすい良い国になって欲しいと考えている人です。自分で産まなくても、不妊当事者にもできることがあると、私は信じてます。
「子どもの貧困問題セミナー」内容へつづく。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)