住んでいる地域で強制的に分けられた小学校、中学校のお友達から始まり、自分で決めた高校、大学、職場、英会話学校、料理教室・・・人はたくさんの人と関わりをもって生きていますよね。
40歳を過ぎてふと自分の周りを見渡せば、そこには「私の人生の歩み」そのものが映し出されていました。いや、ほんと大げさではなく。
友達にとって子宮を全摘という出来事は、胃潰瘍とか腸炎で手術入院するのとは重みが違ったのでしょう。手術することを話した一部の女友達も男友達も神妙な顔つきでした。
過去に不妊治療をしていて二人の人生を歩んでいる人や、不妊治療後に離婚になった人、不妊治療をしていた時に応援してくれた人、月経痛で悩んでいる人、これから結婚出産を考えているアラサー。
妊娠適齢期の人たちにとって、ちょっと先輩の私の出来事は、他人事ではないと感じた人も多かったみたい。個別にメッセージくれたりしました。
年末の大忙しの最中に元同僚たちが病室にお見舞いに来てくれました。来れなかった人は手紙を。妊活スタートしたアラサーから10年以上のお付き合い。お互いにそれぞれの苦悩をたくさん共有してきたからこそ、こんな姿というか、子宮全摘という結果になった素のままを見せられたのかもしれません。
弱音を吐いたり、かっこ悪いところ見せたり、うまくいかないことを話せたり、真の友人関係ってこういうことなのかなと思います。人生はキラキラのサクセスストーリーだけではないから…
退院した時、自宅でゆっくり寝て療養して欲しいということで「ガウン」をプレゼント。私の身体のことを考えてくれたことがなによりも嬉しい。
弱いところを見せれる人が自分の周囲にどれだけいるか、というのが人生を生きやすくするポイントだとアラフォーになり気づきました。今30代のみんな、友達の中でちょっと居心地悪いなって思うことあるかもしれない。いくら個人の生き方を尊重するとは言っても妊娠、出産、育児という大きな流れがそこにはあるから。
今周囲にいる友達だけが友達じゃないし、これから新しい友達との出会いもあり、友達は常に流動的だよ。
周囲の環境は誰も用意してくれない、作り上げるのは自分。居心地の良い場所は必ずあります。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)