日経ビジネスの記事「 子供を作らない生き方も幸せーキャリア・コンサルタントの朝生容子氏に聞く」の記事がありました。
“子育て至上主義”が国全体を包み込む中、どこか疎外感のようなものを覚えている人も存在する。様々な事情から、子供を作らなかった(作ることができなかった)人達だ。「子育ては素晴らしい」「子供がいないのはかわいそう」。そんな社会の空気を感じ取り、「自分の人生はやはり不幸かもしれない」と悩み続ける人も少なくないという。果たして子供がいない人の末路は本当に不幸なのか。
”果たして子供がいない人の末路は本当に不幸なのか”・・・って、すごい投げかけ!
そもそも価値観を押し付けてくる人に何を言っても、強がりにしか聞こえないかもしれないけれど、
私が一番嫌なのは、「同情」。共感と同情は全然違いますからね。
「あそこのお宅、お子さんいないんですって、かわいそうね」
「子供がいないと老後寂しいわよ」
くだらない噂話は若者の時に聞いたことがある。刷り込みって恐ろしい、私も「そうなんだ」と思ってしまっていた。結婚して子のいる人が圧倒的に多い団塊世代。子のいない夫婦がいくら楽しく人生を過ごしていてもそんな意見なんぞ私の耳に届くことなど無かった。
これまでに、不妊治療しているとカミングアウトすれば楽なシチュエーションが私にも多々あったけれど、「同情」だけはされたくなかったので、ぼやかしていました。会社に不妊治療休暇があっても、かわいそうと思われるのが嫌だから使えない・・・という人は多い。
さてさて、それで、子供がいないと不幸なのかという話に戻りますが、
私は、一度は子供が欲しい気持ちを抱いたけれど、結果子供を授からなかったケース。
そんな私は、「二人でも幸せ」だけど「二人の方が幸せ」とは思いません。
「子供いたら二人の生活では味わえない幸せな出来事を経験できたかもしれない」とふとした時に頭に浮かんだりします。でも通常は普通に暮らしています。不幸だなぁ〜と思って生活はしていない。もともと子を望んでいないカップルは別として、やっぱり、一度は子を望んで相当努力して頑張った時間や想いがあるから。それは、選べなかったもうひとつの道を「いいなっ!」「経験したかった」と思うのは自然なことだと思う。でもそれは不幸な人生ではないとハッキリ言えますよ〜。
「子供がいたら=幸せ」「子供がいないと=不幸」この価値観の押し付けは1日も早くやめよう。
記事ではダイバーシティ、多様性について続けて、
ある団体が主催する「ダイバーシティ」をテーマにしたシンポジウムに参加したのですが、中身は完全に「子供を持つ女性を応援する会」。主催者の最後の挨拶は「私達は今後もダイバーシティの精神を推し進め、子供を持つ女性を応援していきます」というものでした。
はげしく共感!ほんとそう思う。それはダイバーシティではなく子育て支援、ママ支援。
私が出版社に勤めていた10年前くらいにダイバーシティを導入しますと会社が盛り上がりました。ダイバーシティ・・・互いの多様性を認め合うってことなんだけど、この日経ビジネスの記事のとおり、子持ち女性をサポートする制度のような印象強かった。違和感があったなぁ。コナシ、独身はその残務を負うことになって、損してるな〜という声はチラチラあり、絶対子供を産んで会社に優遇してもらうまでは辞めない!と言ってる女子社員もいたくらい。今は少しはマシになったのだろうか。
不妊を経験して「人の痛みがわかるようになった」「努力しても叶わないものがあると知った」「命の大切さを知った」という人は多い。気づくことたくさん。その視点をいろんな形で職場で活用することこそダイバーシティ。がんばろう。
(コウノトリの会のお知らせ)
「養子縁組を考える会」
日時 6月28日(火曜)13:30~16:00
参加費 3000円(リピーター様 2000円)
*リピーター様とはコウノトリの会やカウンセリング(メール・電話含む)を利用した方です。
定員 15名
詳しくはコウノトリこころの相談室のHP
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)