夫婦で妊活の時代に突入
3月12日の日曜日、杉並保健所にて「妊娠を望む方のための基礎講座」を実施しました。来年度も引き続き杉並区では不妊支援を継続してくれることが決定!ありがとう杉並区!!
23区唯一の不妊支援事業です。他の自治体も子育て支援の中に不妊支援も含めてくれたらとっても嬉しいです。
さて、日曜日ということもあり、すべてご夫婦での参加!6組12名。最近は夫婦の参加が増えていたのはスタッフ一同実感してたんですけれど、驚きそして嬉しい思いでした。
やっぱり、妊活に対する姿勢はここ10年で劇的に変わってきましたね。寿退職もすでに死後でしょうか。どっちがだけがサポートに回る形だけではなく、「夫婦が力を合わせて」家事も仕事も妊活もってことなのかな。社会がどんどん変化しています。
不妊治療は女性が診察して施術することは間違いないですが、夫婦の足並みを揃えることが大事。この「妊娠を望む方の基礎講座」にご夫婦で参加している時点で、二人の妊活という意識を持っていることを男性からヒシヒシ感じられました。
基礎講座と足圧式ヨーガの後のお話会では、なんとすべての夫婦があえて別々のグループに分かれました。アハハハ
会話の中で男性からは、「妻のために何かしたいけれど、何をしてよいかわからない・・・」という声がありました。そうなんです。男性は何もしてないのではなく、頭の中では何かしたい、もしくは何かしなければと考えているんですね。それをなかなか夫婦で話すチャンスがない・・・というところでしょうか。
妻が夫に望むものってなに?
では夫に望むものはどんなことでしょう。
妊活中はきっと妻はこんなことを思っているはずだ!と決めてかかってはいけません。空回りの恐れありです。
「僕は妊活中の妻のために協力しています」という男性がかつていました。どんなことを?と聞くと、「皿洗いをしています」と張り切って言いましたが、どうも夫婦仲は良くないとの相談です。きっと妻はその時、夫に皿洗いを求めてなかったんですよね。身体的に助かることもあるけれど、妊活協力=家事分担ではないです。精神的負担の大きい妊活は、気持ちに注意してみてください。とは言っても、そっとしておいてほしい人もいます。こればかりはその人それぞれの性格やタイミングがあるので、何を望んでいるか、何に困っているか、何が今不安なのか、どんな気持ちか、実際に女性に聞いてみてください。一緒に住んでいるけれど、わかっているようで、わかっていません。だって二人でいる時は明らさまに落ち込んだりしませんよね。人は弱い部分をなかなか見せない生き物です。しばらくはひとりで何とかしようと頑張ってしまいがち。
これは妊活プロジェクト!
男性が妊活で何をしたら良いか戸惑っているということは、女性も同じだと想像してみてください。初めての事、これからどうなるかわからないことにトライしています。
同じ状況、立場の人は・・・・世界にひとり、夫のみです。
例えば職場のプロジェクトメンバーの中に、初めて重要な場でプレゼンを任される女性がいたら、チームでサポートしますよね。気にかけますよね。「大丈夫?」って声掛けしますよね。
妊活プロジェクトの仕事と例えてみると、想像が少しつきませんか?それも同僚でもなく、後輩でもなく、あなたの愛する妻ですから、贔屓目の手厚いサポートをお願いいたします。男性で注意したいのは、ついつい解決したくなってアドバイスをすぐにしてしまうことです。まず気持ちを「聴いて」くださいね。「あなたはどうしたら良いと思う?」って聞かれるまで妻の状況を聴いてください。そしたら「僕ならこう思うけれど、君は?」とお互いの気持ちを伝え合っていきましょう。同じじゃなくていいんです。知ることね。
いきなり上手に会話できなくてもいいんです。妊活を頑張る妻のために何かしたいけれど、何をしたら良いのかわからないんだ・・・って夫の気持ちを妻が知るだけで「夫は何もしてくれない!」「孤独だ」という気持ちは変わるはず。
お話会に参加した方々が、「どこのお宅も同じ悩みがあるんだな」「こんな考え方もあるんだ」と発見があったならこの不妊支援事業の意味が多少はあるというものです。
来年度も新規企画を取り入れて杉並区の不妊支援事業を盛り上げていきますので、ぜひお近くの方はご利用ください。
左から、この事業を立ち上
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)