明日で死産から5年です。
同じ季節、同じ風、空、匂い、おのずといろいろ思い出します。
日本は四季がはっきりしてて、季節行事を大事にしている国なので、
「あの時から何年・・・」と思い出すことは多いですね。
あともう少しで今までの長い努力が報われる・・・
「不妊治療を諦めず頑張って良かった!」とやっと思える日が私にも来る・・・
出産予定日だけをただただ待ち望んでいました。
その先の予定は、赤ちゃんを抱いて地元にママとして帰省することや、
100日のお祝いには妊娠中にお世話になった叔母を招こうとか、
先の先まで考えは止まらず、それを考える時間が幸せそのものでした。
7ヶ月検診の日、お腹の中の赤ちゃんの心臓が止まっていると告げられ、
大きなショックで病院で泣き崩れ、そのまま夫が迎えに来るまで看護士さんに抱えられ泣いていました。
その後どうやって出産する病院にたどり着いたのか記憶はないけれど、
死産はとてもつらいものでした。
陣痛という痛みに耐えても、何もないのですから。
一瞬で私はまた暗い闇の中に戻されました。退院して戻った自宅ではひとりきり。
しばらくお腹の赤ちゃんと2人で過ごしていたあの感覚がどんどん薄れ、忘れていきそうになる。思い出すと辛くて涙が出るけれど、この出来事が過去に埋もれ忘れられてしまうのはもっと悲しい。
エコー写真を綴っているミニアルバムに、引き続き日記を書いていましたが、「どうしてどうして」の文字ばかりでした。
どうして私はこうなるの、どうして我が家には幸せが訪れないの。
どうして赤ちゃんは空に帰ってしまったの。
答え、ありませんが、自問自答は無限に繰り返されました。
だって、何もすることがなく、時間がありあまっているから。
死にたい気持ち、このまま私を凍らせてくれればどれだけ楽か、そんなことを考えていました。後にグリーフケアを学んだり、自らも支援を受けることで、「死」を考えることは不思議ではないと知りました。同じ死産体験者の会に参加した時には「自分は変ではない」と思えるきっかけになりました。
私の状態は、大切な人を失った時の正常の反応なんだ、、、
落ち込んでも、誰にも会いたくなくても、涙が急にでてきても、
仕方ないんだ、まだまだ悲しんで良いんだ、
と、だんだん思えるようになりました。
それから5年経ち、みなさんもご存知のように普通に笑ったり、
みなさんの前で講演したり、コウノトリの会の進行をしたり、、
生きています。
「神様は乗り越えられない試練は与えないよ」と励ましの意味で当時、言われました。
でもそうかな?
それはただ死ななかったから、乗り越えたと周囲が思っているだけで、こんなこと乗り越えることなんてできない・・・と私は思います。
ただ、今はグリーフケアのステップを歩み、まだ途中ではあるものの、死ななくて良かったと思っていますし、死にたいとはもう思いません。
このタイトルでブログに訪問した方の中には、流死産、新生児死亡を経験して辛い状況にある人がいると思います。5年経過した私が今、赤ちゃんを失って絶望の渦中にいる方に言えることは、
「時間が解決します」と言うけれど、
「時間の過ごし方」がとても重要。
考えると、思い出すと苦しいかもしれない、
でも感情を封じ込めても、消滅せずにいつか出てきてしまいます。グリーフケア(大切な人を失った悲嘆のケア)のステップを自分に合った歩調で進んでいくことが大切です。
周囲を見渡してみてください、助けを求められそうな人はいますか?
ひとりで乗り越えることは難しい。不妊も同様です。
ご主人や、話しを聞いてくれそうな友人、同じ経験をした同僚かもしれない。もちろんカウンセラーのお手伝いも有効です。
私が歩んだ道のりはたった5年かもしれません。
人生はこの先まだ続きます。あの愛情に包まれた日々はあれが最後だったのかな・・・と悲しくなる日もあります。でも歩んでいくしかない、どんなことをしても死産の前の私には戻れません。しかし、あの悲しい出来事は今の私を形成したとも言えます。
自信を無くし自分が嫌いだった時期もありますが、今の自分は好きです。そんな考え方にしてくれた赤ちゃんに感謝しながら生きて行く、ってことかな。
5年目の気持ちでした。
*相談室では流死産の会を定期的に開催。流死産グリーフケアは随時受付しています。臨床心理士のサポートが必要なケースは生殖専門の先生をご紹介が可能です。
・コウノトリの会 参加費3000円(リピーター2000円)
・対面カウンセリング(不妊・流死産・養子縁組相談)60分4500円(カップル90分6000円)
・電話相談 40分4000円
詳しくはコウノトリこころの相談室HPへ、お気軽にお問い合わせください。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)