妊活という言葉が就活、婚活のように使われるようになって数年。。
でも「妊活」と「不妊治療」は同じではないですね。
不妊治療は病院に行って医療行為を受けることです。お金も時間もかかります。わざわざ病院にいくんです。
妊活はもちろん不妊治療をしている人も入っていますが、不妊治療をしていない人もはいっています。要するに不妊じゃない人も含んでいるわけです。
「私、子供ができにくい体なんです」とか、「僕、精子少ないんです」なんて家族や親戚にもはっきりと言えるものではないですよね。
妊活は言いやすいんですね、そこが。
で、タイトルの件ですが、
「不妊治療やめたんです」と過去形で話すことがあります。そうすると、
「子供はもうあきらめたの?」と聞かれます。
あ〜、難しいそのニュアンスの違い。それは完全イコールではないんだけどなぁ・・・
ニアリーイコールではあるけれど・・・
治療をやめるとき、子供を諦める覚悟は相当したけれど、キッパリ子供諦めました!!という気持ちが100%ではなかった。いろいろ道のりを考えると自然妊娠はしないだろうと自分でも思うし、「子供を諦める」に限りなく近い行為と思うのですが、ちょっと違うのです。
不妊治療はやめても妊活をやめたわけではないのです。わかるかなこの違い。
「妊活やめました」ならば、「積極的な子作りはやめました」ということだと思うのです。
なので、子供もう諦めたの?と聞かれると、それはどうかな、私、子供諦めたのかな?と自問自答したりして、不妊治療から離れてもすぐに心に決着がつかないですね。
ゆるーるゆるーりと心が整理されていくものなのかもしれません。
不妊治療から離れて良いことは、時間があるので少々冷静に考える時間が生まれます。どうしても不妊クリニックの待合室では「子供を授かるためにがんばっている人」だけが集まっているので、その人たちは治療を継続するという同じ方向を向いています。そこからひとり離れるのはとても勇気がいますね。そしてお金も余ります。不妊治療以外の他のことに使えるということです。
治療からまず離れるというステップを踏むことで、ゆるやかに考えは変わるかもしれません。
最初のステップは「不妊治療をお休みする」、これはいつ再開しても良いゆるめの設定です。疲れたな・・・と思ったらその気持ちに従ってみる。1周期もはずせない、もったいないと思うでしょうけれど、疲れているなら、ちょっと考えてみてください。
次のステップとして「不妊治療をやめる」、これも実は再開したければしても良いです。だってやめてみないとわからないでしょ?どんな気持ちになるか。それにあなたのことだからあなたが決めて良いんです。病院通いから解放されて快適に暮らせるかもしれませんし、まだ続けたいなと思うかもしれません。
私はいつも心の中で唱える言葉があります。
この世に不動のものはない・・・ご存知ですね。ブッダの言葉です。
春夏秋冬気持ちも変わります。不妊治療中?それはもうグルグル変化しますよね。自分の気持ちに正直にいきましょう!
不妊治療をやめて、それで普通の(お金がじゃんじゃん減らない、通院時間も待ち時間もない生活)暮らしをして、フラットな気持ちで子供について考える時間があってもいいかなって思うのです。
一気に全部決めなくても。自分なりのステップを探してみてください。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)