今日の朝、朝日新聞を読んだという親戚から連絡がありました。(朝日新聞についてはこちら「励ましが悲しみ深めることも」)偶然にも私の名を見つけたんでしょう。
記事の内容は、よかれと思って、早く元気になって欲しいと思ってかけた言葉で、流産・死産した経験者が違和感を感じたり傷つくことがあるというもの。実際にどんな言葉をかけられたのか経験者に取材をし、その時の状況が掲載されています。
・早く忘れなさい
・泣いていると子供が喜ばないよ
・元気そうで安心した
・よくあることだよ
という言葉が並びます。私も、やはり・・・数人から言われました。
親戚はそれらを読んで、きっと私が死産したときのことを思い出したんですね。
「今日の朝日新聞よみました。あの当時、私も傷つけてた言葉を言ってたかもしれない」と・・・メールに書いてありました。
驚きました。死産してから6年、何度も会っているけれどあの時のことは振り返って話すことはなかったから。
あの時・・・会った人や、かけられた言葉、どんな時にどこでどんな風に言われたか、私は鮮明に覚えています。周囲の反応に自分は敏感になっているとその頃から感じてました。よくも悪くも、忘れられない時期となりました。傷ついた言葉だけ忘れられればいいのにね。
当時、幸いにもその親戚からの言葉は少なく、「そんなことが起こるなんて・・・」と絶句してました。それ以上は何も言われなかった、言えなかったのかもしれない。
私にはその反応はありがたかった。声のトーンと言葉が詰まる感じが、この出来事を悲しでくれていると感じたからです。赤ちゃんの誕生を楽しみにしてくれて赤ちゃんを大事に思ってくれてたんだな、って思いました。
親戚は、つわりがひどかった私の家に何日も通いご飯を届けてくれていました。妊婦の私に会った数少ない人です。
せっかくなので初めてその頃の想いを返信しました。身内だと照れもありますが・・・せっかくなので。
あの時そっとしてくれたこと、その対応がとてもありがたかったこと、そして感謝してること、ご飯を作ってくれたお礼、
楽しみにしてたのに、悲しませてしまったこと・・・
自分に余裕がなく、伝えていなかった。余裕がいつからできたのかもわからないけど、気持ちを伝えるのに遅すぎるという事はないよね。
もしかして、今日の新聞を読んで悲しい経験をした人の家族や友達、同僚が、かけた言葉を思い出しているかもしれません。
そういう意味でも、今日の新聞の記事は流産・死産を経験してない人にも読んで欲しいですね。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)