妊活をがんばる夫婦(深田恭子、松山ケンイチ)が主役のドラマが1月からスタートしてますよね。
今までもドラマの中でちょろっと不妊が取り上げられることはあったけれど、
こんなに詳しく心情を表しているドラマは初めて。
ちなみに、「東京女子図鑑」では主人公(水川あさみ)が東京に上京し仕事、結婚、子供に悩む23歳から40歳になるまでを描いてるドラマもいいですよ〜。
この「隣の家族は青く見える」は不妊がもろテーマです。テーマがテーマだけに、内容が暗くなりそう、誰も見ないのでは・・・と思ってたら、予想を裏切られとっても面白い。いや、深キョンが悩みながらも前向きに笑顔でいるところとかは胸がチクチクします、頑張っている姿がつらい。ああ、私もそんな可愛い時あったなって(ええ、あったんですよ〜)思い出す。でもやっぱりストーリーが良いです。最近は漫画や小説がドラマ化されるパターンが多いけど、あれ好きじゃありません。やっぱりオリジナル脚本がいい!私の大好きな「家政婦のミタ」「オヨビでない奴」(ふるっ!)もオリジナル脚本です。今回の脚本は豊川悦司と薬師丸ひろ子がマンネリ夫婦を演じた映画「今度は愛妻家」の原作者中谷まゆみさん、プロデューサーは当時は衝撃だった彼氏からDVされるドラマ「ラストフレンズ」の中野さんです。
コーポラティブハウスに住んでいるという設定にしたのがすごい良かったですよね。各家庭のサイドストーリーで不妊以外のマイノリティを視聴者が考えられるように作られている。そう、子供にまつわる悩みって不妊だけじゃない。子供が欲しくない事実婚カップル、男性カップル、子育て命で子を支配しがちなママとリストラされたパパの家族、その後の展開でステップファミリーの気持ちや、ゲイと告白される母(孫が見たい)の気持ちも入ってきます。妹が産後に仕事復帰したいけど反対される3歳神話的なシーンなど世代間ギャップの小ネタがちりばめられているところもいい。
1話早々から「あっちの方はどうなってるのよ〜!」と子作りについて直球で聞いてくる義母、それはセクハラだと注意されても、なにがいけないの??と止まらない。その後ドラマなので義母はハイスピードで不妊という心理状態を理解していくわけですが。。。ここまで人格が変わったように理解してくれる親世代は稀です。
エンドロールを見るとLGBTや不妊治療に監修がついてて、当事者や現場に取材をきちんとされているんだなと思いました。このドラマだけでたくさんのこと学べちゃいますね。
1話を見た時からこのストーリーのラストはどうなるんだろうと考えてて、最終回はやっぱり「妊娠しました、頑張った苦労が報われた!」だろうな〜と思っていました。ドラマですから最後の「シメ」が必要ですよね。ナナとダイキの妊活の戦いはさらに続く・・・(完)だとすっきりしませんもんね。そして前回、ついに体外受精1回目で陽性反応。でもあら不思議、8話までにすっかりドラマに引き込まれていた私はナナの妊娠が嬉しくてダラダラ涙を流してました。早くこの暗闇から脱してほしいな、幸せになって欲しいなって思って無意識に応援していたんでしょうね。他人の妊娠でもついつい不安になってしまうクセが抜けません。ナナには安静にしてほしいです。
遊園地で遊ぶ家族連れや若者を見たダイキの、「若くもない、親でもない俺たちは・・・・・・」ってセリフ、ほんと何度もそのこと考えました。自分は何者なんだろうって、どこに行っても居場所が無い。生涯独身も増えたけれど、なにより自分自身が子供の頃から「大人になったら親になる」と思って生きてきたから、そうじゃないポジションをどんな風に生きればいいのか、わからない。そんな寂しさや迷いも描いてくれてますね。今妊活中の人や、過去に妊活経験者にとっては、言葉にならない妊活中のモヤモヤを代弁してくれて、改めて気持ちが整理される人も多いと思う。
珍しく夫もハマってまして・・・ダイキのセリフに「ふふふ」と笑ったり、ナナと義母のシーンに涙してます。来週も楽しみだな〜〜。
そして、不妊のドラマに共感しました、感動しました!!というだけにとどまらず、せっかくなのでLGBTや、ステップファミリー、子供を持ちたくない人の気持ちも知って、もし周りにいたら力になれるようにしたいです。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)