隣の家族は青く見えるの9話
数年の不妊治療、義理妹の出産、同僚の妊娠・・・体外受精でようやく妊娠、ようやく五十嵐家にもめでたいニュースが。しかし流産になってしまう。
金曜日に録画を見てから頭から離れません、奈々の悲しみ。母子手帳や、マタニティマーク、家の中の子供のおもちゃ、滑り台、目を伏せたくなるものに一瞬で変わるあの感じ。またグレーに戻った世の中。
バックからマタニティマークを引きちぎるところは、涙が・・・というか号泣してしまった。自分が流産宣告受けた時、お腹の中の赤ちゃんが動いてないと言われた時が戻ってきたみたいで。いろんなことが走馬灯のように・・・
言わないけれど、女性はそんな経験をしている人が多い。
流産の確率は妊娠の15%、そんなことは知っているし、原因のほとんどは赤ちゃんの染色体異常と言われても、
どこにもぶつけることできない「大切な赤ちゃんがいなくなってしまった、守れなかった」という気持ちに襲われる。命を失うって、つらい。
となりで夫がよしよしとしてくれて、一人で観なくて良かった・・・。
『となかぞ』あまりにも残酷な展開が話題 深田恭子、迫真の涙を見せる
ここまで頑張ってきた奈々と大器にとってはとても残酷な展開ということでヤフートピックスにもあがりました。
でもでも、残酷だけど、私はリアルに描いてくれたと思う。
妊活に成功した芸能人ばかりがとりあげられてしまうけれど、その後ろには不妊治療が不成立や子供を諦めた見えない人たちがいます。このドラマでは「体外受精すれば授かる」という内容にはしなかった。「諦めずに努力して良かった!」にしなかった。望んで無いのに予期せぬ妊娠をしたり、予想外に3人目ができちゃった!という人がいたり、何をしてても無事に産む人もいれば、いくら努力しても妊娠しない人もいる、それが理不尽にも起こっているのが生殖の世界・・・観ているのがつらいという意見があるようだけど、私は現実と違うとってつけたハッピーエンドに辟易してたので、せっかくマイノリティを題材にしているこのドラマならあえてこの展開に挑戦してくれて良かったと思う。
視聴者は、無意識にサクセスストーリーを期待する。小説も、ドラマも、人生も。結末に安心したいし、良かった良かったと言いたいから。ハッピーな内容ではないと戸惑う。でも幸せそうに見える隣の家族も悲しみを抱えているかもしれないというのがこのドラマ。
35歳で不妊治療をした人のうち、子どもが産まれた割合は16.8%。
40歳では8.1%です。(NHK 産みたいのに産めない ~卵子老化の衝撃~ 日本産婦人科学会データ)
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)