クローズアップ現代「道徳が正式な教科に 密着 先生は?子どもは?」
私たち不妊を経験したり、流産、死産をした人は、世の中の少数派マイノリティです。結婚して子供がなかなかできないと気づいた時にマイノリティを強く感じました。なので、マジョリティからの価値観の押し付けについて感じることあったので書きます!
授業のことはこちらを見てください。(Temita 家族愛は無償が衝撃的すぎたツイッターまとめ)
道徳の授業(課題は家族愛)
先生「お母さんはどんな気持ちで0円の請求書を子供に渡したか?」
お母さんの気持ちを考えましょうタイム
多くの人がお母さんの家事は無償の愛ということでみんな拍手。
「お金はもらわないからあなたの成長を見せてね」という生徒もいて良いね!よく考えてる。
そこに違った意見をひとりの男児。
男児「子供っていいな、えらいことするとお金をもらえるから、私も子供がいいな」この雰囲気で発言するのはすごい。クラスの生徒笑う。ざわざわ。
先生「それでもさーあ、お母さんはやっぱり0円の請求書をさー渡したわけじゃん、お金が欲しい、いいなぁと思うんだったら」教室の方を見る
他の生徒「たしかに!1円、10円、100円でも渡せばいい」
先生「うん、うん、そうよね!」
え、あの児童の意見は…?修正する先生…児童泣く、それ以上意見を言うのをやめる。
なんだこれー。
ひどすぎて、驚き。
せっかくここ数年でLGBTや独身、不妊、シングル家庭、ステップファミリーなどのマイノリティへの理解は広がりましたよね。個を尊重して多様性を大事にしようという世の中にはなってきたと思ってたのに小学校でこの授業…これでは、少数派は多数派に転じろという教え?に見えます。先生含めみんな対ひとりといういじめの図にも見えます。
番組の後半では違うベテランの先生が登場。そして他の学校の授業も紹介。こちらは両者とても良い。
少数派の意見を知ることで多様性を学ぶ、価値観の押し付けではなく、子供たちが考えるような授業にしたいと先生。グループに分かれ児童の発言も多い。自分以外のどんな意見が気になるか、先生の進め方、質問もいい。前半の先生とこんなに幅があるんだね。
「どこからどこまでが価値観の押し付けで押し付けじゃないっていうのはやっててわからなくなっちゃう」
こちらの児童を泣かせてしまった先生、一年目だそうです。自分の価値観をまず知ることですね。母は優しい、女は家事をするとかあるんじゃないのかなー。
せめてもの救いは自分の授業のやり方が正しいとは言ってない。「道徳が難しい」と言ってるところですね。
文部科学省は授業について「先生の価値観の押し付けにならないよう指導方法を工夫してほしい、子供たちが考える議論できる授業を」
と言っている。そうだよ、そのまましてくれればいいんだけど、授業の答えを先生が誘導して価値観を1つに統一しないでほしいです。
数学とか英語なら、教え方の上手い下手はあっても間違いはない、でも、どんな学校に行くか、どんな先生につくかで、子供の価値観が調整され植え付けられてしまうなんてちょっと怖いね。
価値観の押し付けは大人でも日常的にされていて、とてもストレス。自分が子供が欲しいのに授からないのはつらかった、でもそれは自分の問題。それ以上に子供ができないことで周囲から言われる言葉、押し付けられる価値観には長いこと苦しい思いをしました。
早く結婚しなさい
どうして子供作らないの?
子育てこそ女の幸せ
子供育ててない人にはわからない(保育士のクライエントさんが保護者に言われました)
奥さんがご飯作ってくれないの?
0歳から保育園に預けるの?かわいそう
一人っ子はかわいそうよ
このような言葉は世間では頻繁に飛び交ってる言葉です。
それはあなたの価値観であって自分がもしも結婚したくない、子供欲しくないと思っていればそれはそれでいいんです、いいはずなんです。生涯未婚率が上がったとはいえ男性23%、女性14%(2015年)とまだまだ大多数が結婚してます。不妊も6組に1組で、5組はなんなく産んでます。子なしジンクス家庭もいますけど、少数派です。
価値観はあって当然だけど、多数派が正しい意見とは限りません。他人に価値観を押し付けて良いわけもありません。だから自分で考える大人になってもらいたくて国は授業「道徳」を取り入れたんじゃないのかしら。なのに授業の中では多数派に自分の意見を変えられた。失笑され、マイノリティの力は弱い、居心地が悪い、聞いてもらえない…この経験はどんな風に成長過程で刻まれるんだろう。教育が逆走してなければいいんだけど。
そして、道徳の授業は難しいと先生方言いますけど、国算理社よりやりがいのある授業だと思います。どうして学校の先生になったのかな、学力の知識を子供に教えるためだけじゃないよね(塾じゃないんだから)、優しい子に育って欲しい、思いやりがあって助け合う大人になって欲しい、困ってる人のことを想像して欲しい、そう言うのあるんじゃないの?
先生の腕の見せ所、一番発揮できる授業だと思うんだけどね。志願して教師になったんですよね。
あとで泣いた児童の隣に座って慰めてたことがフォローしたことになってるけど、それで終わりじゃなくて次の道徳の授業で、先生がしたことしっかり修正しないとね。
クラスのみんなは「他の人と違う意見を言うとこうなる」という現場を見たからもう言わなくなる。だって嫌でしょ自分の意見を勇気出して言ったのに笑われて間違ったかのように正されてしまう。そうじゃなかったよ先生があなたの意見を尊重せず誘導しました。間違えてました、みんなの意見を聞いて知ることが大事でしたと言って欲しい。大人も間違いあるからそんな時はちゃんと謝るんだということがもう1つの学びにもなるよ。
先生には良いこと言ってまとめようとしないで、上手なファシリテーターになって欲しいです。
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)