妊活がうまくいかなくて、行き詰まって、どうしてこんなに苦しんいんだろう・・・と思っていた頃、発達心理学者エリクソンのライフサイクル論を知り、すごーーくそれが面白くて腑に落ちました。35歳でした。
人生を8つの発達段階に分けるのですが、
1、乳児期前期(0歳~1歳):基本的信頼vs不信
2、乳児期後期(1歳〜3歳):自律性vs恥・羞恥心
3、幼児後期(3歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
4、児童期・学齢期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
5、青年期:同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
6、成人期:親密性vs孤立
7、壮年期:生殖性vs停滞性
8、老年期:自己統合(統合性)vs絶望
人生にはそれぞれの年齢で課題があったんだ、、、今まで歩んできたことを振り返って納得し、子供のころに知っていればもっと思春期が楽だったのにと思うと同時に、今、私がいるのは7段目の壮年期ということがわかり、その課題こそがまさに私が悩んでいる「生殖」でした。生殖とは、要するに子孫を残すことです。
子がいないから課題が達成できず停滞している
育てたい欲求が生まれて当然の年齢
子が授からなく苦しいの理由を見つけることができて安堵しました。苦しいはずだよ〜と。
「生殖」というのは子だけではなく芸術的に作品を残すことも含むのですが、一般庶民の私には子以外の何かを世に残すというのはそれはそれで難しく考えたことも無かったので、かなり停滞しました。
なんでこんな話をするかというと、妊活をやめて生殖の課題から離れていた私ですが、8月、キアゲハの幼虫が家庭菜園で見つかり、パセリを食べみるみる大きくなる様子を突然観察することになりまして、「育てる」感覚を味わったのです。
無農薬パセリが全滅する勢いだったのでスーパーのパセリを与えると、一番大きくて元気な幼虫が死にました。虫が死ぬようなものを私たちは食べていた・・・。覚悟を決め無農薬パセリを幼虫に放出したところ、6センチに大きくなった頃に失踪。どこに行ったんだろう。あちこち探したけどいない。
けっこう愛着が湧いていたのに・・・
そして最後の幼虫も大きくなったのに翌日失踪。なぜ!(ここで初めて疑う。外で飼っていたので巨大クモに食べられた可能性大)
みんないなくなってしまった、とても残念。
まさにこれがエリクソンの7段階の生殖vs停滞で、どちらからも学ぶことはあり、そのバランスで人は成長していくらしいです。
諦めていたらパセリに小さい幼虫を1匹発見。今度こそ!!という育てたい欲求がマックス。アゲハの幼虫から蝶になる可能性は0.6%。低いよ!蝶にとって自然界は厳しい。
そして4センチに成長した幼虫を玄関に移動。(もう家族・・・)ここなら安心。朝、挨拶をする関係に。
4日くらいでサナギになりました。神秘。マシュマロカラー
この同じ時期に妊活友達がカイコ蛾を育ててたのですが、成長が止まると受精卵を思い出すと言ってて、たしかに一喜一憂してた頃と重なる。ぜひ最後までしっかり育って欲しいです。サナギは例えるなら胚盤胞か。
そして12日後、朝、玄関に蝶が!生まれたての小鹿のようにいた。子供のように夫とふたりで興奮しちゃいました。手に乗せると、完全に虫の感触・・・
インコにとっては初めて見る巨大飛行物体。ビビってます。
そして昼、自然界に飛び立って行きましたとさ。めでたしめでたし。
蝶の飼育は小学生の自由研究で経験ある人もいるかもしれないけれど、私は初めてでした。わかったことは2つ、新しいチャレンジは調べるし、ワクワクドキドキ、夢中になる。子育てに夢中になっていた友たちを思い出します。自分の育児の話が止まらないんですよね。私がこの妊活ブログに蝶の写真をたくさん載せてしまうくらいなんですから、我が子の写真を「見てみてかわいいでしょ!」という行動も不思議ではない・・・。
やっぱり、育てるって素敵。いろいろ難しいけれど、子育てしたいとアゲハを通じて再確認。
もう1つは、「今度こそ!」と思ってしまう。どうにか最後をみたい。蝶を大空へ羽ばたかせたい。達成感を求めてしまう。その達成感は自分が努力して得るものではなく、生命の神秘の分野だからとても嬉しいものでした。「虫」と思って軽く飼育に介入してしまったけれど、命の重みと大切さを学んでしまった。
これは、命って大切だよ、動物や生物を大事にしようね。と言葉で言うよりイモムシ育てる方が効果大だと思う。我が家に少年がいればもっとこの幸せを分かち合えたね。
来年もチャンスが舞い降りたら挑戦します!
1975年生まれ。不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。28歳に結婚後、妊活をスタート。人工授精、体外受精、10年以上の不妊治療では二度の流産、死産を経験。子宮腺筋症で子宮全摘。44歳で生後5日の養子を迎える。数々のメディアや、大学で講演活動を行うなど、実体験を語っている。これまでの体験を綴ったエッセー、夫婦共著「産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ」2020年9月出版(KADOKAWA)